ACT.6

文化祭が終わって数日後。

学校中に張り出された告知ポスターが、生徒たちの間で話題になっていた。


🚨【特報】🚨

今年度、男子校・布之宮学園との初コラボ!

ついに実現――

《全身タイツ交流運動会!》

タイツをまとう者同士、布の誇りをかけて勝負せよ!


「きたーっ! これ、タイツ界のオリンピックだよね!?」

「布之宮って、あの“男子タイツ校”!?」

「ガチでトレーニングしてるって噂の……布筋強者たち……!!」


あやかたち常葉女子高も、全校をあげての準備モードに突入。

あの体育館が、再び熱を帯びる――

今度は異性間ゼンタイスポーツ対決の舞台として!


開会式! タイツの頂上決戦スタート!


体育館に並ぶ、色とりどりのゼンタイ集団。

右側:常葉女子高のぴたぴた女子たち。

左側:布之宮男子学園の、がっしりボディにぴったりタイツの男子たち。


全員、顔だけを出し、体のすみずみまで布に包まれている。

汗も、鼓動も、筋肉も、布越しにビンビン伝わる。


「うおぉぉぉ、女子の布……やわらかそうでズルいぞ……!」

「男子のタイツ、厚みある……重量感の暴力……!」


妙に熱のこもった布トークが交錯する開幕。


種目①:ぴたぴたキャタピラレース!


ルールは簡単!

布の筒の中にチーム全員で入って、体育館を転がってゴールを目指す!


女子チームはしなやかさと連携力

男子チームはパワーと重量感


「布の中で方向がわかんないー!」「ぎゃー、ぶつかったぁぁ!」

「男子の圧で潰されるぅぅぅぅ!!」

「こっちはこっちで女子の布の香りに惑わされて集中できねぇぇ!!」


体育館がぴたぴたぬるぬるドッタンバッタンの大騒ぎに。


種目②:布綱引き!タイツロープバトル!


タフタイツで編んだ特製ロープを使用。

素手ではなく、**“全身タイツの手袋状態”**で綱を握る。


「よし……布のグリップ力、試される時が来たな」

「いける……うちのクラス、布圧調整してきたから!」


お互いのタイツの引き合い。

腕、太もも、腹部……タイツに力が入るたび、ぴっぴっぴっ、と微かに音が鳴る。

その音が……熱い!


「勝者ぁぁぁ! 常葉女子〜〜!!」

「やったぁぁぁぁ! タイツ最高ぉぉぉ!!」


種目③:布つなひきランブル(全員参加型ごちゃまぜタイツ相撲)


体育館の真ん中に巨大マット。

タイツ姿で押し合い、倒されたら退場。

最後まで布に立ち続けた者が勝利!


「男子強すぎっ、壁みたいっ!!」

「いや、女子のタイツしなやかすぎて滑って倒せない!」

「ぬるんって避けられた……だと……!?」

「そこだっ、太ももタックルぅぅぅぅぅ!!」


男子の突進 vs 女子の布技

筋肉 vs 滑り

熱気が布を震わせ、歓声がタイツの隙間に満ちる!


そして……表彰式!


勝敗はなんと……引き分け!


「男女とも、布の魂は互角と判明しました!」

司会の布越しボイスに、全員で拍手!


全員で円陣を組み、布に包まれたまま握手、ハグ、肩ぽんぽん。

布と布がこすれ、ぴたぴたぴた……と優しく響く。

もう、タイツであることが違いではなく、繋がりになる。


帰り道。

あやかとみなは、ちょっと照れた様子でぽつり。


「男子タイツって……意外といいね」

「うん……あんなに真剣に布と向き合ってるんだね」

「またやりたいなぁ、布バトル」

「今度は、布混合チーム戦とかさ♪」


夏の日差しが照りつける午後――

蝉の声が響く中、あやかたちの教室に響いた担任の声は、あまりに爽やかだった。


「さあ皆さん、今日はいよいよ! 待ちに待ったプール授業ですっ!」


わああああああああああああああ!!


「やったーっ!」「水着タイツきたーっ!!」


タイツの国では、当然ながら水着もタイツベース。

しかも水泳授業専用の「布圧調整型アクアスーツ」は顔以外すべて包み込む、全身ぴっちりモジモジくん型スーツ。


つまり――


首からつま先、指先、そして頭のてっぺんまで。

完全密着、滑水仕様のゼンタイ水着。


見た目はもはや「水面に映える布の彫刻」!

色とりどりの布たちが、太陽を反射し、濡れて光る!


更衣室タイム! ぴったりスーツへお着替え


「ふわ〜〜っ、今日の水着スーツ、紺にしたんだ〜」

「私は黒! 濡れると色っぽくなるやつ♡」

「濡れると……ラインが……あ、あやかのも結構……」

「みな見すぎっ!」

「だって、みんなピッタピタすぎて目のやり場がないのよ〜!」


脱いだ制服タイツの下に、さらにぴっちりアクアタイツを着るという二段構え。

ファスナーなんてもちろん無い。ぬるっとかぶって、しゅるっと装着完了。


布が肌に吸いつき、頭の形や手の輪郭まではっきりわかるほどの密着感。

でも、恥ずかしくない。だってみんなが同じだから。


鏡に映るあやかの姿。

濃紺ゼンタイ水着に身を包み、顔だけがぽつんと出ている――

(うわ……これ、前だったら絶対ムリだったかも……でも……)

なんだか、不思議な誇らしさすら感じる。


プールサイドにぴたぴた大集合!


プールの水面がきらめく。

その脇に、ずらりと並ぶタイツ水着女子たち。

まるで光る布人形たちが行進してきたよう。


ぴたぴた、ぺたぺた。

濡れても透けない防透布、でも肌の動きはまる見え。

どんなに激しく泳いでも、布がズレない。

それがタイツ水着の真骨頂!


授業開始! タイツ水泳で大はしゃぎ!


「それではー! タイツスイムテスト、始めまーす! スタートッ!」


どぼんっ!

ぴしゃあっ!


飛び込む瞬間、水しぶきと布が絡み合って、

滑らかな流線型が水中に沈む。


「すごいよあやか〜! タイツが水を切ってる!」

「うわっ、抵抗少ない! これ、普通の水着より泳ぎやすいかも……!」


ぴたぴた水着は、水中でしなやかに動き、

水の流れを肌で感じさせてくれる。

タイツと一体になった体が、水と融合するような感覚。


息継ぎのたびに、布の中の肩や背中が、ぷるん、と動く。

そのたびに、周囲の視線もチラチラ……でも、誰も気にしてない。

だって全員、**“タイツの中”**なのだから。


浮き輪タイツレース・水中タイツしっぽ取り


「しっぽつかまえたーっ!」「きゃああ! タイツ破れちゃう〜!」

「大丈夫大丈夫、防水三重構造だから〜!」

「浮き輪レース、タイツでぴたぴた滑るのずるくない!?」

「それが戦略なのよ!」


ぬるぬる滑る、くるくる回る、布と水が入り乱れて、

全員が水中ぴったぴたテンションMAX!


湯上がりならぬプール上がりの“布干し”


授業の後は、タイツ水着のまま布干しスペースでストレッチ。

「は〜〜〜、今日もタイツに包まれて気持ちよかった〜」

「脱がなくていいの最高。布が乾くまでずっと着ていたい♡」


扇風機が布越しに風を送って、タイツがふるふる揺れる。

それがなんとも言えず、気持ちいい。

汗も、疲れも、ぜーんぶタイツが吸ってくれた。


その日の帰り道。

制服タイツの上にまだ水着タイツの感触が残っている気がして、

あやかはつぶやいた。


「……なんかもう、水と布と、私の境界って、なくなってきたかも」

「うん。布と共に生きてる……って感じだよね」

みなが笑って言う。

「……私たちって、タイツ女子高生っていうか……布族だよね」

「布族。わかる」

ぴたぴた、くすくす。

布の中から、笑い声がこぼれた。

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