第3話どんなに上手くいかないときだって人生捨てたもんじゃないって
政治を語ってるうちに少しむかしを思い出していた。ポコチャの「うみちゃん」の枠に移動する。うみちゃんは37歳ファイナンシャルプランナー。
「おはうー(´・ω・`)」
「ponziさん、おはよう!」
「うみちゃん。高市早苗政権の積極財政政策で株価はめちゃめちゃ上がってるけど。あれはponziさんたちの長年の研究の成果なんじゃ(´・ω・`)」
「うっそー。わたしの周りでも経済の専門家のあいだで話題になってるけど、ponziさんの名前なんて聞いたことないよ!」
「いいの!手柄は人に譲るのがponziさんの哲学なの!(´・ω・`)」
またも顔文字入りのコメントをうみちゃんの枠に投稿するponzi。
動画配信サイト「ポコチャ」を終えた。「ポコチャ」はponziの大事な研究の場であり、情報源でもあった。
10時近くなり、出かける支度を始める。歯を磨き、服を着替え、トイレを済ませて、10時30分にグループホームを出て徒歩で船堀に向かった。
船堀駅で、トミーさん、ともちゃんが待っていた。
「おはようございます!」
「お昼ご飯。どこ行きますか?」
「ガストかバーミヤンかな」
ともちゃんが、ガストがいいというので、
「じゃあ、ガストにしましょう」となった。
船堀のガストまでの道のりを3人で並んで歩いた。
ガストでは999円セールをしていた。ともちゃんはステーキをトミーさんはミックスグリルを頼んだ。ponziは遠慮して少しだけ安いハンバーグを頼んだ。
「戦前の支配階級で生き残っているのは天皇家だけなんですよ!」
「三菱財閥創始者の旧岩崎家の邸宅が江東区にあります。一般公開しています。でないと維持できない!」
統合失調症のトミーさんはご飯を食べているあいだも口角泡を飛ばしてまくし立てている。
「そういうのって、全部亡くなったお父さんやお兄さんから聞いた話なんですか?」
ponziが合いの手を入れる。
「親父は東工大から日石の取締役でした。兄貴は開成高校から北海道大学中退、そしてブルックスブラザーズ。2人ともなんでも教えてくれた!」
3人で4500円くらいの会計をトミーさんが支払ってくれた。ガストの自動精算機を使って、ぎこちない手つきで現金で支払うトミーさん。
現在のトミーさんは障害者就労と年金で生計を立てている。トミーさん自身は亜細亜大学経済学部を卒業してすぐ統合失調症を発症し、ながらく闘病無職生活を送ってきた。ともちゃんは障害者就労と生活保護だ。ともちゃんのお父さんも一橋大学法学部中退のインテリ任侠でともちゃん自身も明治学院大学英米文学科卒。2人とも幼少期は大変裕福な家庭で育ち、気位が高い。傷を舐めあってるわけではないが、障害者就労で障害者年金と実家の扶養を頼っているponziを含め、似たような境遇の3人であった。
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