第2話病める時も健やかなる時も

2024年の衆議院議員選挙のとき、ponziの住むグループホームの近くでバタフライナイフをチラつかせた金髪の若者、おそらく10代、が数人たむろしてponziを睨んでいた時期があった。ponziのような生き方をしていればそれはいつ殺されてもおかしくはない。

2024年6月に府中刑務所から出所した反社のかつての親友ワタさんから手紙が届いたことがあった。

「ponziさん。今回は俺がむかし世話になった茨城の後藤田組の若頭に頼んで鉾を収めてもらいました。ponziさんが、すべての親類縁者家族友達から見放された獄中生活でも唯一、自分に手紙のやり取りや差し入れを続けてくれてたこと。周囲の人間に聞いてもponziさんの良い噂しか聞きません。あんな高潔な人間はいないと。あいつらもそれはわかってくれて、「上に言われてきたからどんないけすかねぇヤツかと思ってましたけど、普通にグループホームに住む障害者じゃないですか。俺たちでもあの人は殺せない」って言ってました。ponziさん気をつけてくださいよ。今回はうまくいきましたが次はやばいかもしれないですからね」

ワタさんからの手紙。ponziも少し気を使うようになった。なによりも「いのち」を大切にしなさい、というのは師匠の東大教授でクラシック音楽家の伊東乾(いとうけん)の教えでもあった。泥をかぶり地べたを這いつくばってみずから率先して現場で生きることによって市井のみんなからの理解は初めて得られる。ネットではしばしば誤解を受けるponziだが、実は言葉より行動の人間なのだ。

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