第2話 神化
従魔リルは、勇者カインを帝都へ送り届けた後、聖女サーシャの故郷ブルームへ戻っていた。
ブルームはアルリフラ帝国の最南端に位置し、すぐ隣にはグラティアの森が存在する貧しい農村である。
従魔リルは村に戻ってくると、すぐに聖女サーシャのお墓を掘り、丁寧に埋葬した。
それから10年、この地でフェンリルの姿を見る者は誰もいなかった。
従魔リルは、ブルームからウンベラータ王国との国境付近である山間部の洞窟の中で深い眠りについていた。
聖女サーシャと別れてから10年、リルは長い眠りから目を覚ます。
そこで体への違和感を覚える。
自分の体が白いのだ。
魔王との戦いの時は、体毛は芦毛だった。
魔力も以前と比べると大幅に増えているように感じる。
そこで、自分のステータスを確認する。
名前:リル 101歳
種族:神獣
魔力:999,999/999,999
神力:999,999/999,999
魔法:風魔法、氷魔法NEW、雷魔法、無属性魔法、鑑定魔法、生活魔法、
神聖魔法、転移魔法NEW、変身魔法NEW
称号:元聖女サーシャの従魔
えっ、神獣、氷魔法、魔力999,999、神力って・・・。
魔力が上限まで増えているし、神化しちゃってる。
うーん、100歳を超えたからかな。
謎。
これって、ドラゴン並み・・・。
まあ、いいか。
サーシャとお別れして10年。
サーシャ、ちゃんと転生したかな。
今のところ、サーシャの魔力は感じられないから転生していないと思う。
転生してたとして、魔力が感じられないから、まだ、子供だよね。
人間って何歳から自我が生まれるのかな。
本当に見つけられるかな。
サーシャと約束したんだ。私を探しに来てねと。
転生はきっと成功してる。
失敗するはずがない、天才と言われたサーシャだからね・・・。
でも不安だよ。
リルはサーシャしか人間を知らない。
勇者パーティーとも一緒に過ごしていたが、基本サーシャにべったりだった。
だから他のパーティーメンバーとあまり関わることもなかった。
リルは考えた。
サーシャを探しに行くとして、フェンリルの姿のままだと目立つ。
確か、変身魔法を取得したのだから、人化できる?
魔法はイメージ。試してみよう。
「メタモルフォーシス」
リルは、変身魔法により、髪色は白で、目の色はネモフィラの花のような色合いの綺麗な目をした少年の姿に変身していた。
「きっと成功だな。」
よし、あとは言葉かな。サーシャと過ごしていたから、言葉は何となくわかる筈。
しばらくこの洞窟から、サーシャのお墓参りや近くの村へ通ってみよう。
確か、冒険者という職業があった筈。冒険者になっても良いかもね。
兎に角、最優先事項は、言葉の習得だ。
リルは独り言ち、山を下りていくのだった。
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