第17話 水曜日と桃の間
今日は7月13日水曜日。普通は登校日だが...俺は欠席だ。昨日は色々あり過ぎた。そして今、ものすごく頭が痛い。起きて10分は大丈夫だったはずなのに。何故か、
「「...」」
数秒間無言のまま、お互いに見つめ合う。そして、詩織は負けたように俯いて顔を赤くする。
「体調大丈夫なの...」
「え」
俯き気味で突然質問した詩織に、俺は少し躊躇って話す。
「...頭が痛い」
自分の声が低くなっていることに気づき、慌ててトーンを上げる。
「でも大丈夫だからさ。心配するなよ」
ぎこちなく笑顔を作って詩織を見る。すると詩織が顔を上げて話し始める。
「噓でしょ...私知ってるわ。あんたがあいつらを殴ろうとして私が止めた時、感情を抑えてたのが伝わってた。本当は...辛かったんでしょ...?」
詩織の真剣な眼差しに『本気で言っているんだな...』と思い、俺は肩をすくめた。それと同時に呼吸が浅くなり始める。
「ちがっ...俺はっ...お前らに言われっ...がっ...」
両手で顔を覆い、布団に突っ伏して微かに肩を震わす。しゃっくりで話すことも難しくなり、ついには目から涙が一粒また一粒と溢れる。
「俺はっ...何も...でぎなっ...ぐて...」
「大丈夫よ...まずは自分の心配をしなさい」
背中に詩織の手が置かれたのを感じた。それは暖かく俺の背中を上下にさすり始めた。その間に俺は、泣くことしか出来なかった。
「はぁ...ごめん。こんな姿見せちまって」
時間が経ち、しゃっくりが落ち着いてようやく泣き止んだ俺は改めて詩織を見る。俺は詩織を見て、一息ついてから話しかける。
「なんでここに居るんだ?」
「急すぎるわね...」
「いや、ずっと思ってて...言えなかったからさ」
「そりゃ決まってるじゃない」
次の言葉は何かと、俺は息を呑んで詩織を真剣に見つめる。
「看病...したいだけ...」
「え?」
急なツンデレ発言に、俺の視線は詩織に釘付けになる。俺のために...欠席をしたのか...。罪悪感が襲い掛かり、胸が苦しくなる。
「ただ私のわがまま...」
「いや...おかげで助かったよ。独りだとまた泣いちゃうからさ」
「ホントっぽいのやめて」
「おい...?」
詩織と話して、いつもの調子に戻った俺は前から気になっていた質問をしてみることにした。
「なんでツンデレになったんだ...?」
この前こいつらと屋上で昼食を一緒に食べた時、詩織は結希に『ツンデレ』と言われていた。そして、あの『看病したいだけ』と照れながら言ったツンデレ発言に確信した。あぁ...ツンデレなんだな...と。
「えっとぉ...」
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