第3話 護、響子姐さんの幸運に喜ぶ
「ピーナツや枝豆はアカンでぇ。大事な先生やからフルーツの盛り合わせでも取ったれ」
イガグリの指示に続いてまた、おいっす、と返事がしてドアが閉まった。
[第2話より続く]
護が肩の荷を下ろして振り向くと、響子はバスローブを羽織っていた。
まあ座りいな、
と響子が急に
「若いモンがいま何か持って来るさかい」
「はあ。このホテルの中で博打をやっているのですか?」
「そうや。大きな花会らしいで。社長なぁ、午前中の勝負でイマイチやったから腐ってたんや」
そんな話をしていた時、ドアのノックの音がして、ルームサービスのワゴンが運び込まれてきた。
余程大切な客だと思われたのだろう、つまみに枝豆ではなく、豪華なフルーツの盛り合わせがビール5本と一緒になって、ワゴンに載っている。
響子はボーイの差し出す伝票を、
「ちょっとアンタらも気が利かんなぁ、サインしとかなアカンでぇ、そないなことやからいつまでたっても使いっ走りしか出来んのや」
などと廊下の男たちに小言を言ってボーイを追い払い、すぐににこやかな顔に戻ってビールを護に突きつけた。
「さあ、どうぞ」
こうなればヤケクソだった。
護は1度着た上着を脱いで、リラックスした。
が、こんな厚遇を受けると、ひとつ間違えば大変なことになると案じた。
勝てばいいが、負けた時にはその責任を一身に背負わされて、航海に失敗した
とは言うものの、ここまできてしまってはどうしようもない。
ドアの外には見張りがいるので逃げるわけにもゆかないし、逃げたら逃げたで、アン美容室の早苗に迷惑がかかる。
「
と、護は極道の女の機嫌を取ることに決めた。もしもの時には姐さんを頼るほか、ない。
「おおきに。ほなら、ちょっとだけな」
響子はソファーの護のすぐ横に腰をおろし、ローブの袖口を気にするような女らしい仕草でグラスを出した。
「ほなら、乾杯や」
「何に、乾杯ですか?」
「センセの持ってはるツキに。うち、お店やってんねんけど、場所を移りたいんや」
「スナックのママさんですか?」
「スナックやあらへんでぇ」
響子はビールをグイと空けて、いかにも沽券にかかわるといった感じで大袈裟に首を振った。
「クラブや。女の子も10人は居てる。ただ場所がミナミやねん」
響子はそのままコップを置いて煙草をくわえて、ため息をつきながら、
「やっぱ飲み屋はキタでないとな。ミナミは格が落ちるのや。京都
ボヤキ姿は苦闘中のクラブのママといった感じだが、煙草を指に挟んだその格好は、女渡世人といった方がぴったりくるような迫力がある。
響子は護が火をつけてくれるのを待っていたが、護の方は一向にそれに気づかず、仕方なく自分で火をつけてから響子はその手を護の大腿部に置いた。
今度は女渡世人からクラブのママに突然変身して、上得意を相手にしているような顔になった。
「センセ、いい男ね」
響子はすぐに手を護の股間へもってゆき、ズボンの上から撫でた。
「ウチ、最近パパばっかしやさかい、センセみたいな若い人のを忘れてしもうた。ちょっと味見させてえな」
言うが早いか響子は護のズボンのジッパーを下ろし、慣れた手つきでパンツの前を開いてペニスを掴み出し、パクリとくわえた。
さっき散々護に
「困りますよ。親分さんが帰ってきたら、どうするんですか?ぼく、海に沈められるじゃないですか」
「大丈夫やて。ウチの社長、賭け事をやり始めたらとことんいくまでやらな気の済まん
「でも、部屋の前の子分さんは?」
「心配せんかてええ。ウチが言わん限り、絶対に入ってきいへんわ」
う~ん、
おいしい。
響子は護のペニスを味わうように舐めたりしゃぶったりしながら、
「やっぱ若い人のオチンポはおいしいなあ」
護も我慢が出来なくなってきた。
なるようになれ、という心境だった。
「
護は響子のバスローブをはぎ取った。
そして態勢を入れ替えて彼女の前に跪き、両足を広げた。さっきカットしたばかりのヘアの中央に、響子の濡れたクレバスがあった。
「美味しそうですねぇ。姐さんのオマンコ」
護は舌を割れ目の上部へ伸ばして、クリトリスを中心に舌先でつつく。
「いや~ぁん、エッチね。オマンコやて。ウチ、社長に殆ど舐めてもろうたことがないさかい、ほ、ホントええ気持ちやわぁ。久しぶりやん、こんなん」
その時、いきなり響子の携帯電話が鳴った。
護はすぐにペニスをパンツの中に押し込み、響子は響子でハッと我に返って携帯に手を伸ばし、その手を胸に当てて呼吸を整え、ボタンを押した。
「うん。うん」
響子は普段と変わらない声で頷くと、ちょっと待ってや、と護に携帯を突きつけてから、遠くの人に声をかけるようなカンジで少し大きい声で、
「センセ、社長がちょっとセンセに代わってくれへんかって。始まった早々、バカツキみたいやで」
護はあまりにも電話を早く取ると響子のそばにいたことがバレてしまうので、彼女のクリトリスをひと舐めして、それから携帯を受け取った。
「はい。代わりました」
「おお、チン毛切りの先生。やったでぇ。午前中押し込まれてたんでな、倍賭け倍賭けで強気に出たら、おまはんのおかげで初っぱなからツキまくりや。相手はカネ切れで、最後のカネの算段をしとるころやさかい、もうチョイ待っとけや。今日は東京のクラブを借り切ってドンチャン騒ぎや。ナイチンゲール何とか、っちゅうんかいな、それや」
イガグリは上機嫌で呵々と笑った。
「ああ。マーチンゲール方式ですか。倍、倍に賭けてゆくという」
「おお。それや」
「いえ。結構なものを頂いていますので」
「ビールなんかやめとけ。響子にもキタの一等地にクラブを買うてやると言うといてくれや。ほなら、今から大一番でダメを押したるさかいにな」
イガグリは言うだけ言うと、一方的に電話を切った。
「なんか言うてた?」
響子が聞いた。
「ツキまくっていて、キタの一等地にクラブを持たせてあげるって」
「ホンマ?ウチもミナミからキタのクラブのママに出世や。さんまや紳助や、プロ野球でも一流選手がやってくる。これもセンセのおかげや!」
「ママ、おめでとう」
護は響子のことを
響子の唇にキスをしたのはこれが初めてだったが、考えてみればさっき響子はイガグリのナニをくわえていたっけ。
響子もまた護のパンツを開いてペニスを握り、舌で護の舌をまさぐりながら、
「センセ。凄いやんか!縮んでないやん。社長のチンチンはすぐに縮こまるさかい、そのたびにしゃぶって
護も舌で応えながらジーンズとパンツを脱いで、ペニスを響子の割れ目にあてがった。
そしてゆっくりと、子宮襞を堪能しながら挿入した。
入口の陰唇は雨に濡れた2枚の花びらのようにビラビラになっているが、未経産婦なのだろう中は思いのほか締まっていて、護はペニスが子宮内壁を分け入るように侵入して、ヴァギナ全体を侵略する感覚を楽しんだ。
「うっ、うっ」
と、響子は短い息を吐く。
護が奥までペニスを入れて恥骨をぶつけると、護の首に手を回してううう~~っと長い喘ぎ声を上げた。
その声は大きく、部屋の外まで届きそうだった。
護は慌てて唇で彼女の唇を塞ぎ、強烈なピストン運動を開始した。
それから速度を落とし、回転を加え、ゆっくりとペニスを響子の中で右回りに、それが済むと今度は左回りにこねくり回した。
そして腰を8の字に切って、ペニスの先で子宮天井部のGスポットを刺激するように、つついた。
響子は、
死ぬぅ、だの、
イクゥ、だの、
もうダメ、などと叫び続けた。
それでも護は手を緩めず、脚を巧妙に入れ替えて響子にワンワンスタイルを取らせると、お尻の方から割れ目にペニスをぶち込んだ。
「おおおお!わわわわわっっっっ!」
響子はソファーに顔を埋めて、言葉にならない呻き声を上げ続けた。
護は正常位と同じようにピストン運動から始め、回転運動を加えてゆく。響子は腰が砕けたようにもうグッタリしていた。
「センセ、こんなんされたの、初めてや。お願い。もうイッて。ウチ、死んでまう」
彼女は息も絶え絶えに言った。
「中でイッていいの?」
「器具を入れているさかいええねんけど、ウチ、センセのザーメンを顔に浴びたいわ。パパがいつもポルノ動画みたいに顔にかけるさかい、そうせなイカんようになってしもうたの」
「いいですよ。じゃあ、出しますよ」
護がペニスを抜くと、響子は体を反転させてすぐさま護のペニスの前に顔を差し出した。
ウッ!
と護は呻いて響子の顔に向かってオシッコをするような格好で、ペニスをしごく。
昨夜から今朝にかけて、クラブホステス遙の中で2回果てていたが、白濁した精液が勢いよく響子の開けた口の中へ飛び込み、鼻に飛散した。
響子のうっとりとした顔に向けて、護はなおもペニスをしごき続けた。
やがて噴射が収まると、響子は護のペニスを掴み、すっぽりと口に飲み込んだ。
蛇が舌を動かすようにチロチロと尿道口を舐め、咽喉の奥までくわえ込んでシュパシュパと音を立ててピストン運動を繰り返す。
それから
「パパの精子より、やっぱり若い人の精子の方がピンピンして生きがええな。それに精液も濃くて美味しい。練乳やぁ」
響子はペニスを唇からはなすと、護の顔を見上げながらウットリと笑った。
そのとき、響子の携帯がまた鳴った。
響子は護の精液を顔に受けたまま取り上げて、
はい、
と、真顔で応じた。
そして、
ふん、ふん、
と短く頷いたあと、
ええっ!
パパがっ!
と大きな声を上げたかと思うといきなり天井を眺めて茫然自失状態となって、携帯を落とした。
「どうしたんですか?」
と、護は響子にたずねた。
パパが・・・
パパが・・・
と、響子は顔を引きつらせたまま、酸素不足で水面に顔をあげた金魚のように、口をパクパクさせた。
「パパが、大一番に負けてスッテンテンどころか大借金を背負ったんやて。で、で、ピストルで自分の頭を撃ち抜いたんやてぇ」
ええっ!
今度は護が声を上げた。「じゃあ、お店は?」
「パアや」
響子は半べそをかきながら肩を落としてしょんぼりした。
「そうですか・・・ツキなんてそんなにあるわけないしなあ」
護は瞬間、自分の身にも災いが降りかかってくるのかと案じたが、親分が死んだとなれば、何とか身をかわせるかもしれない、と、一縷の
????
響子はいま泣いたカラスが突然何かに思い当たったように虚空に目をやると、
ええねん、
と、今度はニッコリ笑った。
「ウチ、社長が死んだら3億の保険金が入ってくるねん。そやった、そやった」
「でも極道さんは保険に入れないって聞いたし、
「社長が保険に入ったのはその制度が出来る前やし、国籍も2つ持ってるさかいバレへんわ。博打の借金は〈極道共済会〉の方で何割引かにしてくれる割引制度があるみたいやし、相手方がどうしてもそれが気に入らなんだら、戦争や」
「戦争って、ドンパチが大阪で始まるのですか?」
「かもな。カネを踏み倒すっちゅうことやからな。
でもま、この不景気や。バクチって言うたかて昔みたいに段ボールに札束詰め込んで遣り取りするんと違うて、所詮バクチという盆の中でのバーチャル借金や。
カネが動くのは帳面上だけやから、バーチャルやと考えれば実質、誰も損も得もしとらん。
言うたらメンツの遣り取りだけや。
そないなもんで昔みたいに命の遣り取りなんぞしとったら、お互いカネも身も持たん。
それに極道の〈共済会制度〉もある。
ウチの社長も自分の命で一応の落とし前はつけたさかい、情状酌量の裁定が出るやろ。
それでもと言うのなら、裁定に盾突いた方が負けるのはわかりきったこっちゃ。きりのええところで親分衆がまとめてくれはるやろ」
「問題点は短銃自殺に対する保険金の支払いということだけですか」
「ま、そうかもな。でも、何とかなるんと違ゃうかな。店のお客さんに弁護士の先生も居てはるし、保険会社がグズグズ言うようなら、若いモンの尻を叩いて会社周りで街宣でもやらせれば、相手は根負けするやろ」
「はぁ」
護は頷いた。このヤケクソ戦術があるから極道は強い。
「やっぱセンセにチン毛カットしてもろうたらウンがつくっちゅうのは、ホンマやな。社長から離れられて、夜伽に若いツバメも鳩も何羽も飼える軍資金が手に入る。ほんまにセンセ、センセは福チン様や。また東京へ来たとき、電話するさかいにな」
[剃りびと パート8 了 パート9へ続く]
剃りびと 蘭&護(8)護の1日 護&極道の女 響子姐さん 押戸谷 瑠溥 @kitajune
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