第6話 残酷な別れ2

「誰が口答えを許したの? あなたの態度次第では、ヴィクトルに害が及ぶかもしれなくてよ」


「殿下、本当に僕たちは潔白なのです。僕が目障りだというのなら、ヴィクトルには近づかないようにします。ただ、友人思いのヴィクトルは、どうして僕が避けるのかを知りたがって、余計に僕を追うと思います」


「口答えはするなと言ったでしょ。本当に腹立たしい。ヴィクトルは何があっても絶対にあなたを選ぶと自信満々なのね。だから、私が何を言っても無駄だと、胸の内で嘲笑っているのでしょう?」


「そ、そんなこと思ってもいません。ヴィクトルが、陛下ならどんな王族の方でも選べるのに、伯爵の嫡男でもない自分ではつり合いがとれないと言っていました。ヴィクトルのように将来有望な男でさえ恐縮するのに、子爵家の次男の僕が、無謀にも陛下に太刀打ちできると考えるわけがありません。大きな誤解です」


 そう? と目で確かめるロラ王女に、ノアが首肯すると、王女はようやく態度をやわらげにっこり笑った。


「私は凛々しい男性も好きだけれど、きれいな男性も好きよ。ヴィクトルは私の夫に迎えるから、あなたは私の愛人にしてあげてもいいわよ」


 無茶苦茶だ。ノアは一刻も早くこの場から逃げ出したかった。

「恐れながら陛下。私は子爵家の出ではありますが、次男ですのでヴィクトルと同じく爵位を継げません。分不相応なお申し出に身がすくむ思いです。どうか輝かしい陛下のご身分とつり合いの取れる方をお選びください」


「そう。私を持ち上げるようなことを言いいながら、身分違いを盾にして、私にさっさと手を引けというわけね。お生憎様。あなたも知っての通り、ヴィクトルは野心家よ。さっき踊ったときに、騎士の対面上突き放せない相手がいると打ち明けられたわ。ヴィクトルは親友だと思っていても、相手は違うようだと。私と結婚する前に騒がれても困るから、今少し我慢してくれってね」


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