第5話 騎士の誓い3
「理由を聞いたら、すぐに忘れてくれ。ヴィクトルは僕にとってかけがえのない親友だ。武勲を立てて昇進するお前をみんながもてはやすのを見ると、喜ばしい気持ち半面、独占欲に苛まれるんだ。友人としてあまりにも心が狭い自分に嫌気がさすし、このままでは変な噂になりかねないと思って、距離をおこうとしたんだ」
恥ずかしくて、みじめで、振り返ることもできない。きっとヴィクトルは裏切られた気分になっただろう。
ふいにノアの手が引かれた。そういえばまだヴィクトルに握られたままだったと気づいたときには、思いっきり引っ張られたノアの身体が後方に傾ぐ。
腹に力を入れて起き上がろうとしたが、ヴィクトルの腕がノアを囲い、背中はすっぽりヴィクトルに覆われた。
「な、なにするんだ。放せよ」
「いやだね。放したら走っている馬車からでも飛び降りて、速攻で逃げるだろう」
やっぱり長年親友をやっていると、ノアの行動はすっかり見抜かれているらしい。それでも自分の恥部をさらけ出した後に、顔を見られるなんて耐えられない。
ノアがじたばたと暴れていると、ヴィクトルが力技でノアの身体の向きを変えた。
「最低! 僕の顔を見て面白がる気か?」
「おっと、殴るなよ。昔から手が早いんだから。俺が面白がっているように見えるか? もし逆の立場だったら、俺だってノアに群がる奴らに嫉妬したと思う。俺がここにこうして生きているのはノアが救ってくれたからだ。そしてノアが生きているのも俺が救ったからだ。地獄を生き抜いた魂のパートナーに気やすく触れるなと、俺なら叫んでいるだろう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます