第5話 騎士の誓い3

「理由を聞いたら、すぐに忘れてくれ。ヴィクトルは僕にとってかけがえのない親友だ。武勲を立てて昇進するお前をみんながもてはやすのを見ると、喜ばしい気持ち半面、独占欲に苛まれるんだ。友人としてあまりにも心が狭い自分に嫌気がさすし、このままでは変な噂になりかねないと思って、距離をおこうとしたんだ」


 恥ずかしくて、みじめで、振り返ることもできない。きっとヴィクトルは裏切られた気分になっただろう。

 ふいにノアの手が引かれた。そういえばまだヴィクトルに握られたままだったと気づいたときには、思いっきり引っ張られたノアの身体が後方に傾ぐ。

 腹に力を入れて起き上がろうとしたが、ヴィクトルの腕がノアを囲い、背中はすっぽりヴィクトルに覆われた。


「な、なにするんだ。放せよ」


「いやだね。放したら走っている馬車からでも飛び降りて、速攻で逃げるだろう」


 やっぱり長年親友をやっていると、ノアの行動はすっかり見抜かれているらしい。それでも自分の恥部をさらけ出した後に、顔を見られるなんて耐えられない。

 ノアがじたばたと暴れていると、ヴィクトルが力技でノアの身体の向きを変えた。


「最低! 僕の顔を見て面白がる気か?」


「おっと、殴るなよ。昔から手が早いんだから。俺が面白がっているように見えるか? もし逆の立場だったら、俺だってノアに群がる奴らに嫉妬したと思う。俺がここにこうして生きているのはノアが救ってくれたからだ。そしてノアが生きているのも俺が救ったからだ。地獄を生き抜いた魂のパートナーに気やすく触れるなと、俺なら叫んでいるだろう」


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