第3話 出会い5

 まさか大勢の前で謝られるとは思わず、ノアはヴィクトルの潔さに感心した。


「謝罪を受け入れる。ノアでいいよ。僕もヴィクトルと呼ぶから」


 ヴィクトルが差し出した手をノアが握ると、周囲から拍手が起こった。

 ヴィクトルの主のルクシード伯爵が近づいてきて、従騎士たちに身体の小さい者は今のノアの戦いを参考にするように伝えてから、二人に向き直る。


「さて、我らがかわいい従騎士たち。血気盛んなことは戦場では評価されようが、今は訓練中だ。規律を乱せば罰則が与えられることを知っているな?」


 ヴィクトルとノアがイエス、マイロードと答えると、伯爵は演習後の地面の整地を二人に命じた。

 それだけで済んだことが有難く、二人は伯爵に命じられた通り、演習後に整地を行ったが、その途中でヴィクトルがポリポリと頭をかきながら、ノアに打ち明けた内容にノアは驚愕した。


「あのさ、ノアのこと、最初は本当に女だと思ったんだ。だから怪我をしないうちに帰れと言った言葉は心配から出たもので、決して侮辱したわけじゃない」


「はぁ? お嬢さんのご尊顔に傷をつけないようにとか言っといて、よく今更ぬけぬけと嘘を吐けるな」


「だから、見たこともないようなきれいな相手から見当違いの理由で噛みつかれて、……やっ、だから殴ろうとするなって、きれいなのは本当だろ? おまけに戦場では足手まといだなんて言われて、俺は動揺しまくって、理性が追い付かずに卑怯にも爵位で相手を屈服させようとしたんだ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る