第3話 出会い2
伯爵と聞いてノアは一瞬怯んだ。だがそれも一瞬のことで顔にも出さない。
騎士を目指すのは爵位が継げない次男以下であり、しかもここは社交場ではないのだから、爵位に関係なく実力が物を言うはずだと自分を奮い立たせた。
剣の腕前なら自信がある。ノアは胸を張って答えた。
「クリントス子爵家のノアだ。爵位をひけらかして陽動するつもりなら、僕には効かない。プライドごと切り刻まれるのはお前の方だ」
人形のように整ったノアの顔は、いまや怒りで頬にも血が巡り精気に満ちていて、周囲が息を飲むほど美しい。他の従騎士が呆けている中で、ヴィクトルがにやりと笑った。
「やる気だけは認めてやるよ。お嬢さまの美しきご尊顔に傷をつけないように配慮はするが、身体に傷を負っても文句は言うなよ」
「くっそ、かかってこい!」
ノアが剣を抜き、ヴィクトルもそれに倣う。ノアの美貌にうっとりとしていた従騎士たちがようやくことの大きさに気が付いて、主を呼ぶためにあたふたと走りだした。
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