第3話
それから夏休みが終わり、二学期になった。
相変わらずゆいとみかはずっと一緒で私たちが以前のように三人組に戻ることはなかった。
「はい、みんな夏休みはどうだったかな?あとで思い出いっぱい聞く時間取るので、いま話すのは辞めましょう。えっといまから席替えするからみんなくじ引いてくれー。」
席替えか…あんまり乗り気じゃないな。窓側の席でありますようにとくじを引こうとしたとき、ゆい達が横入りしてきた。そのとき肩があたったのだがゆい達はごめんの一言もなし。私は二人にとっていない存在なのだと前から分かっていだが、そう改めて感じた。
無事私の席は窓側となった。ただ問題が一つある。いや二つある。まず隣がめっちゃ陽キャの川上優斗なのだ。この人はとにかくモテる。めっちゃモテる。クラスの女子達が優斗さんの隣を狙って毎回必死になっているのは知っているからとても周りからの視線が怖い。ゆいとみかも同じだ。あの二人は優斗さんを狙っている。もしこれがきっかけでいじめが起きたらどうしようとかも思うけどまだ問題がある。
それは私の班にゆいがいるのだ。こっちのほうが問題すぎる。しかも私の後ろの席だ。
プリントを渡すときとか、もし手が触れたらどうするんだよとか色々考えてしまう。1番怖いのはみかとゆいが私の後ろで大声で話されることだ。別になにか病気を抱えているわけじゃないと思うのだが、どうも大声を聞くと変に緊張してしまい、お腹は痛くなるわ呼吸は苦しいわで大変なのだ。
隣も隣でうるさいからそこも心配だけど…。
「みんな席変え終わったなー。よしじゃあまず隣の人と夏休みの思い出を語ろう!!」
え、終わった…。なにを話せばいいのか、しかも後ろでゆいが見ているかもしれない。これで悪口言われても困るんだけど。あぁどうしよう。
「…あのさ、」
「え、あ、はいなんですか、」
「なんでゆいちゃんとかと一緒に居なくなったの?」
え?それ聞く?
私だったなりたくてなったわけじゃない。ある日突然避けられるようになったんだよ。理由があるなら聞きたいけどどうせ答えてくれない。お前みたいな陽キャさんにはわからないことなのに。
「…それ知ってどうするんですか。なにか私のために行動してくれるんですか。」
「え、っと…。」
「すぐ答えられないなら聞かないでください。」
「ごめん…。」
あ、やべ強く言いすぎた。でもこれも自分を守るためだ。これ以上ゆい達に目をつけられないようにする為の自己防衛。自分の身は自分で守らなきゃいけない。
これからはひっそりと誰とも関わらずに過ごす。そう決めたのだ。傷つかないために。自分で自分を殺さないようにする為に。
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