第7話 トクントクン……これは……恋!?
「こんにちは、アスモ デウスです。」
パラパラパラパラ……
屋根の瓦礫や土埃?ハウスダスト?のような煙が充満する中
瓦礫と一緒に添い寝をしていた俺は、汗がびっしょり
……
だぁってぇぇぇぇぇ
これ絶対怒られるやつじゃぁぁぁんっ!!
秘技『気配察知』!
すごい勢いで俺のいる部屋まで近づいてくる気配がある
……
刺客かっ!!
はい、サラさんです!汗ダラダラ
サラ
『ちょ、ちょっと!何事っ!?あ、……』
この時、サラさんは見とれていたんだと思う。
本来あるはずの天井が吹き飛んたところから見える綺麗な月に……(都合の良い解釈)
サラ
『ねぇ……これ……どういうこと……かしら?』
サラさんの首がゆっくり45度回って俺を見た
……
目が
ダークマターのようになっている……
俺は瓦礫との添い寝を諦め、立ち上がる
「痛たた……あの……ほんと……」
「ごめんなさぁぁぁぁぁいっ!!」(土下座)
「これはですね!ちょっとしたスキルをですね!ちょっとだけ試していたらですね!」
「くしゃみをちょっとだけしてしまい、ちょっとだけ力んだことによって」
「……ちょっと屋根吹き飛ばしちゃいました……」
サラ
『どこにもちょっとの要素がないでしょぉぉぉ!』
しょぉぉぉ!と同時に回し蹴りが飛んできた……
ぶふぉべろばばばばばばぁーっ…………
俺は見事に10回連続前転を繰り出した。
審査員は見事な前転にオール10点だろう。
観客席も総立ち涙の嵐!
俺も10点以上の痛さと涙の嵐!
…………
もう、めっちゃ痛いですほんと……
「ず、ずびばぜん〜〜」
サラ
『どうするのこれっ!この大穴!月が綺麗に見えてるじゃない!』
あ、本当に月見てだんだ……
サラ
『あんたこれ!絶対に直しときなさいよ!絶対よ!』
サラ
『玄関のドアも直してもらうんだから、朝早く起きなさいよね!!』
めっちゃ怒ってるわよねぇぇぇぇ
サラ
『お風呂先に入っていいから、早く寝なさいよ!新しい部屋は用意しとくから』
怒ってるけど、言ってることは優しいなっ!
ツンデレとはまたちょっと違う?
辛いのに甘ーいみたいな感じ?
「は、はい……ほんと……すみません……お風呂先頂きます」
精神誠意のお辞儀!
逃げ足でトコトコとお風呂に向かう。
そして、迷う!
どこ!?お風呂!?
広いから場所が分からないよぉぉぉーっ!
瓦礫ドン!と、しょぉぉぉーっ!キックのおかげで、体全体が痛い中、1階をウロウロ探し回り、何とかお風呂に入れた。
暖かいお湯で、体を洗い、風呂に浸かる
はぁぁぁぁぁぁんあたたたたた!
色んな意味で色なとこがシミる……
今日は、本当に色んなことが、
あり過ぎだわっ!!
どんな展開の速さだよ!!1日だよまだこれ!
悪魔の名前といい、レンチン術といい、ドアガスんといい、デビルスライ厶といい、サラさんのお家お泊まりといい……
づぅ〜かぁ〜れぇ〜たぁぁぁ〜ブグブクブクブク
俺はお風呂に浸かったスライムのように
とろけた……
一風呂浴びてスッキリした俺は、すっかりサラさんが怒ってることを忘れており
「あ、サラさん!お風呂先に頂きました〜!ありがとうございます〜!あ!なんか着替えとかも用意して貰っちゃって〜!助かりました〜!」と爽やかスマイルを決めてしまった。
サラ
『あ゛!?』
「あ、はい、ほんと、この度はすみませんでした」
「ちゃんと誠心誠意込めて、直させて頂きます」
サラ
『約束だからね!パパとママの大事な家なんだから……』
うわぁ、超申し訳ないことをしてしまったぁ…
絶対直そ……
「はい!もちろんです!」
サラ
『ところで何のスキルなのよ。屋根吹き飛ばすくらいのスキルなんて、そんな多くないわよ』
あ、やべ……
サラさんのスキルですぅ〜なんて言っても信じて貰えるかなぁ……
うーん、でもこれからパーティ組んでいくわけだし、いろいろお世話になる訳だし、いつまでも隠して置くわけにもいかないだろうし〜
よし、部分的に打ち明けますかここは!
残りは徐々に!
「屋根吹き飛ばしたスキルは、サラさんと同じ衝撃波なんですよね〜……ハハハハ」
サラ
『は?ちょっと……どういうことよそれ!?』
「実は、特殊だとは思うんですけど、人のスキルを5つまでコピーできるんですよ俺……」
「衝撃波は、冒険者ギルドで出会った時に、スキルをコピーさせてもらいました」
「この模倣保存(コピーストック)って、珍しいスキルだろうから、誰にも言ったことはないんでよね〜……」
女神から貰ったスキルだから、珍しいのは当たり前なんだけどね(てへっ)
「サラさんが1人目です……」
俺の初めてを捧げた人です。なんちゃって……
とは、さすがに言えなかった。
サラ
『は!?え!?そ……そんなことありえるの!?』
『人のスキルをコピーっ……て…………』
『さ、最強じゃないそんなの!!!』
「ですよねぇ〜。強い人のスキルコピーしまくれば無双出来るようなスキルなんでしょうけど……」
「俺はあまり最強とかには興味がなくて、のんびりした暮らしが出来れば、それでいいんですけどね」
「このスキルは、コピー出来ないスキルもあって、まだまだ分からないことも多いんです。スキルについては試行錯誤中なんです〜」
というか、あんまりスキルコピーしてきてないなそういえば!!
ゲイルさんの冒険者パーティの方々のスキル見とけば良かったぁ…
唯一、模倣保管(コピーストック)試したゲイルさんのスキルはコピーできなかったし!ちくしょうっ!
サラ
『…………』
超考えてるなこれは。
頭の中ポクポクチーン!だなこれは!
サラ
『あんたそれ、あまり知られない方がいいわ』
「はい、俺もそう思います……」
トクン
ん?
サラ
『こんなの教会に知られたらただ事じゃないわね』
トクン
なんださっきから?
心配してくれてるサラさんに対して、俺の心がトクンしてんのか?……
サラ
『ちょっと!聞いてるの!?』
「あ、はぁぁぁい!聞いてます聞いてます!」
「教会に知られると何がマズイんですか?」
サラ
『鑑定ってスキル知ってるでしょ?鑑定スキルは教会関係者しか持ってないのよ。だから鑑定スキルをコピーしたら大変なことになるわ』
あら?あらららのら?
ぼくちん、『鑑定』持ってるんですけどぉ……
……ストックしたらあかんやつだったのかぁぁぁ!
(脳内:きゃぁぁぁぁぁーっ!)
「あ、あの〜」
……
「この街に入る時に、名前の件もあって司教様に鑑定されまして〜」
……
「便利そうだなぁ…なんて軽い気持ちでコピーしたんで、鑑定持ってます俺、はい」
……
サラ
『はぁぁぁ……まずいなんてもんじゃないわよそれ』
『いい!?鑑定ってゆーのはね、相手の情報が見えるの!これがどういう意味か分かる?』
「相手のステータスとか名前が分かる!くらい?」
サラ
『ばかっ!!それがヤバすぎるのよ!』
『ステータスが見えるってことは、その人に挑んだら勝てるか勝てないか。っていうのがすぐ分かるのよ?』
「あ!」
サラ
『だから絶対勝てる人が分かるってこと!相手は無抵抗とほぼ同じよ!それが悪用されたらどうなるか分かる?』
「あ、はい……自分より弱い人は搾取される対象でしかない。ってことですね……」
サラ
『そういうこと!だから鑑定スキル持ちの人は、みんなほぼ強制的に協会の関係者になるの!司教様も小さい頃から教会にいるみたいよ!』
ふむ
なるほど
強制的に入会させられる宗教って、なにぃぃぃ?
考えた方がもうこわぃぃぃぃぃーっ!
「これは絶対にバレないようにしますね!」
「悪用もしないと誓います!」
「自分以外の人に鑑定したことは無いので、安心してください!」
サラ
『べ、別に誰にも悟られずに鑑定するのは良いのよ。絶対にバレないならね!鑑定が悪用されることに問題があるってこと!』
「あ、そしたら鑑定させてもらっていいですか?サラさんのステータスどれくらいか気になってたので!」
流れるように聞いてみた!
サラ
『少しはデリカシーってものをおぼえなさぁぁぁいっ!』
やばいっ!『気配察知』!
風を切るように近づいてくる手のひら
ヒュオオオオって言ってるのが分かる
この気配察知便利だな…
常時使用じゃないと即反応するの無理だけどねぇぇっ!
気配察知を使った時点では、既に俺の頬の近くに手があり、ビンタがクリティカルヒットした。
バチィィィィン!……
いったぁぁぁぁぁぁんいっ!
俺は体を捻りながら回転して飛んで行った。
衝撃波のスキル出ちゃったんだろうなぁ…
俺の丈夫さが高くなかったら多分サラさん人殺してるなきっと……間違いなく……
ズサァァァァァァァ……
「つ、つ、つみ゛ま゛ぜんでじた…」
サラ
『私を鑑定しようとしたら、もう1発同じの喰らわせるからねっ!』
「は、はいぃぃ〜」
トクン
なにっ!?なんなのっ!?
さっきからトクントクンて!!どっから聞こえるのぉぉぉぉ
これが恋の音なのぉぉぉぉっー!?
サラ
『ちょ、ちょっと、固まってどうしたのよ!?そんな強く叩いてないでしょ!?大丈夫?』
サラさんは、やりすぎてしまったと思っているようで、少し心配そうな目をしている。
チュンデレきゃわゆーい!
トクン
ほら!きゃわゆい!と思ったら、トクン言うてる!
これが好き!?好きってことなのぉぉぉ〜?
俺はドMなのぉぉぉぉ〜?
トクン
トクン
ドクンドクンドクンドクンドクンドクン
なになになになにぃぃーー!?
怖いんですけどぉぉぉ〜!?
(脳内:きゃぁぁぁぁぁーっ!)
その時、
無限収納の次元が、勝手に開いた!
夜だったからか、それはそれはもう!
それはそれはものすごい光が急に出てきた!
俺もサラさんも驚きを隠せなかった。
サラ
『きゃあっ!な!なによこれ!?』
『ちょっと!アモスなんかしたでしょ!?』
アスモですぅぅ。とかそんなこと言ってる余裕はない
「いや!何もしてないです!ほんと!急になんか無限収納が勝手に!?なんで!?」
激しい光を放つ無限収納の次元から、
何かが
ちょっとずつ出てきているぅぅぅぅぅ〜!
なにっ!?なんなのぉぉぉ!?
もうこのお家怖いぃぃぃぃぃーっ!
プリュン!
……
プヨンプヨン!
……
無限収納から出てきたのは、
小さくなった”デビルスライム”であった。
「きゃぁぁぁぁぁーっ!」
あまりにも急なことから黄色い悲鳴をまたもや上げてしまった。
どぉーゆぅーことぉぉー?
なんで倒したはずのデビルスライムが勝手にいぃぃ!?
逆襲っ!?スライムの逆襲なのぉぉぉーっ!?
サラ
『なっ!!アモス!!一旦離れてっ!!』
俺とサラさんは瞬時に、避難した!アスモですけど!
プルプル
プルルン
なんか、ひたすらプルルンしてる。
「なんか、害はなさそうじゃないですかね?あいつ」
サラ
『わからないわっ!油断した途端、襲ってくるかもしれないでしょ』
ん〜、そうかなぁ〜
気配察知使ってるけど、敵意?みたいなのないんだよなぁ……て、気がするんだけどなぁ
まぁ俺には毒効かないから、猛毒の霧吐かれても平気なんだけどね!(てへっ)
「よし!」
サラさんは凄い警戒してる中、俺はトコトコとデビルスライムに近寄ってみる。
プルン
プルルン
なんか、
あれ?なんか可愛く見えてきたぞ?
さっきのビンタで俺の頭がとち狂ったか?
いや、普通に可愛いぞ!このスライム…
黒!ってとこがニッチで、俺は好きだなぁ…
「お、おいで〜」
そうすると、デビルスライムは俺の手の上にプリョンッ!と乗ってきた。
手乗りスライムだ!!
サラ
『ちょっと!!正気なの!!?早く距離を取りなさい!』
「たぶんこの子大丈夫ですよ!ほら!全然攻撃してこないし!」
「なんか、懐いてる感じしません?」
サラ
『そ…う、かしら?私には分からないわ!』
警戒を辞めないサラさん
スライムを愛でる俺!
「よしよぉ〜し。お前はなんでちっちゃくなって生き返ったのかなぁ?」
流石にスライムは話ができるとは思ってないが、ペットに話すような感覚で、つい。
パッ!
「びゃぁぁっ!!」
と急にステータス画面が勝手に開いたので、肩にゴキブリ乗ってましたくらいにビビる!
サラ
『アモス!!大丈夫!!?』
「だ、大丈夫ですぅ〜。ちょっとくすぐったくてびっくりしただけです!」
ステータス画面を見ると、ダイアログが出ていた。
なんだこれ?
そこには!
なんと!!
【デビルスライムをテイムしますか?】
YES / NO
と出ていた。
テイムって、あのテイム!?
テイムとかそんな機能あるの!?
「あ、あの〜サラさん、ちょっと聞いても良いですか?」
サラ
『なに!?どうしたの!?』
サラは全く警戒を解くつもりはなく、デビルスライムをギンっ!て聞こえるくらい睨んでいた。
「なんかテイムするかしないかみたいなの、出てるんですけど…」
「しちゃっても良いんですかねこれ?」
サラ
『え?ちょ、はぁっ!?デビルスライムってテイムできるの!?』
サラ
『テイムって言ったら、低ランクの魔物くらいしかできないんじゃないの?デビルスライムレベルの魔物をテイムしてる人なんて見たことないわよ!』
「あ。じゃあレアなんですねこの子!」
うん、可愛いし!レアっぽいし!テイムしてみるか!
「おまえ、俺んとこくるか?」
デビルスライムは分かっているのかいないのか、プルプルして俺を見ている
目はないけど、コアを含めた全体が、目のように見えてきて、プルプルお目目がこちらを覗いているよっ!
サラ
『ちょっと!!本当にテイムする気っ!?』
「はい!」
頭の中で俺は「YES」と唱えた
デビルスライムから優しい光のようなものが、ゆっくり俺に流れてきた。
俺からもデビルスライムに向かって光が流れて行った
お互いの光が繋がり、重なり合った光が……
めっっっちゃ光った!!
「きゃぁぁぁぁぁーっ!目がぁぁぁぁっ!」
暗いのに急にスパークするから、目がついて行かないぃぃぃーっ!
そぉーと目を開け、やっとスパークの影響が薄まって来たので、ステータス画面を見てみると。
ステータス画面右上の所に
【獣魔:デビルスライム】
と表記されていた。
「おぉ!テイムできた!サラさんっ!テイム出来ましよ!」
サラ
『嘘でしょ……デビルスライムをテイムしちゃうなんて……』
サラさんは呆気に取られて言葉を失っていた。
「これからよろしくな!」
「名前どうしよかな!……おまえ。じゃ味気ないからなぁ」
「う〜ん」
……
スライム、デビル……
デビルん、スラデビ、……
黒豆、悪魔ゼリー……
俺は名前を考えるセンスの無さに、落胆しながらひたすら悩む!
良い名前をつけてあげたい!
黒い……透明な……赤い……核……
ブラック……インビジブル……レッド……コア……
サラさんが痺れを切らして
サラ
『ちょっと、名前考えるの長いわよ!さっさと決めないよっ!』
「あ、は、はい!すみません!」
良い名前良い名前良い名前…………
黒……暗い……闇……深淵……お!
深淵!!
カッコイイ!!
なんだっけぇぇー、えーと……英語で言うと……
……
あ!
「アビス!!」
「お前の名前は今日からアビスだ!」
プルルンってアビスが跳ねた。
なんか喜んでるみたいで可愛いぃぃぃ〜
「サラさん、この子アビスって名前にしました!」
サラ
『あら、いい響きじゃない!アモスにしてはセンスあるわね!』
ひどいっ!
まぁ俺のセンスの割にはいい名前になったなとは思ってるけど……ひどいわっ!
サラ
『なにか意味はあるの?』
「はい!深淵。という意味の名前です!」
サラ
『へ〜。深淵をアビスと言うのね?知らなかったわ!』
まぁ英語なんてないもんねこの世界に!
「は、はい!アハハハハ……」
とりあえず深くは言わないでおこう……
「アビス!これからよろしくな!」
アビスは嬉しそうに
……
猛毒の霧を吐いた。
「きゃぁぁぁぁぁーっ!」
(脳内:くっさぁぁぁぁぁ〜)
誰かたすけてぇぇぇぇぇーっ!
(第8話に続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます