第60話 新たな目標
レイの提案に対し、セレジアは何も答えられず無の空間が広がる。
(私がギルドに入る……確かに、騎士団長としての役割をこなしながらを許してもらえるなら、私ももっと変われる気がする。レイは、私に変わるきっかけをくれた人だから、でもカラマタにはマクセルさんが……。)
考えているセレジアに対し、
「いろんなしがらみがあるとは思う、出来るかできないかは後で決めれば良いんじゃないか?セレジアの気持ちを教えて欲しいんだ。」
「……そうね、私は、ギルドに入りたいわ。」
「分かった、何か条件があるだろ?」
「ええ、1つは騎士団長としての役割も同時に果たさせて欲しい、もう1つは、マクセルさんのではない、あなたのギルドに入りたいわ。」
「分かった……ん?俺のギルド?」
セレジアの依頼に、レイは目を丸くして見つめる。
「俺のギルド?って、そんなことできるのか?」
「出来るわよ。条件はシンプル、1つ目はギルドとして活動できる拠点があること、2つ目はギルドメンバーは4人以上、管理者、サポーターの配置よ。」
「管理者とサポーター、マクセルとエリ、リーナみたいなことか。」
「そうね、カラマタには20名以上の戦闘員が加入してるから、ギルドメンバーも足りてるわ。私は、マクセルさんのところではなく、レイのギルドメンバーになることを希望するわ。」
ギルドを開く条件を聞いて、レイは胸が熱くなるのが分かった。
(たしかに、俺がギルドを開設できたらマクセルに迷惑をかけなくて済むな。協力はお願いしたいけど、俺が開ければさらに世界が広がるのかもな。)
「セレジア、少し時間をくれ。俺もしっかり、ギルドを開くことを検討したい。」
「本当、嬉しいことを言ってくれるわね。私はいくらでも待つわ、期待させてもらうわよ。」
「ああ!じゃあ、俺は戻って寝るな!」
「ええ。あっ、明日お昼時間をもらえる?パンケーキ屋であなたにお礼がしたいの。」
「おっ、ビュッフェか!いくらでも開けておく!楽しみにしてるぜ!」
部屋を出て、レイは宿に向かう。
セレジアは部屋で1人になり、静かな空間に孤独を感じた。
だが、今までの彼女ならこの不安に押し潰されそうになっただろう。
しかし、今は違う。
レイという心から信頼でき、自分のことを理解してくれる存在がいてくれることで少し気が楽になっていた。
(レイ、勝手なことだけど私はあなたに賭けてみたい、私が変われるかどうか、私の人生をあなたに。)
セレジアと疲れが溜まっており、そのままぐっすりと眠りについた。
次の日、
2人はパンケーキ屋の前で集合した。
レイはいつも通りの服装でパンケーキ屋に向かうと、
「っ?こっちよ、レイ。」
「悪い、遅くなった、セレ、ジア。」
「なに?」
「いや、なんで今日はお洒落してるんだ?」
「まるでいつも怠惰な服装しているみたいじゃない?」
「いやそうじゃなくて、なんかこう、いつもより綺麗な装いだから。」
今日のセレジアは、アテネでセレジアとして動く、薄ピンク色のロングドレスで腰から下はふわっと幅広い歩きやすい仕様、黒の短パンを履く姿ではなく、
体のラインが出る白いブラウスに、水色のロングコート、タイト目の黒いロングパンツでモデルのような美しい服装だった。
「それが私服か?」
「そうだけど、何か?」
「いや、改めてスタイルいいんだなって。」
「褒めても私からは何も出ないわよ、早く行きましょ。」
「ああ。」
2人はパンケーキ屋に入ると、
「いらっしゃいませ!セレジア様!お待ちしておりました!お連れ様も、いつもありがとうございます!」
「今日はありがとうね、私の我儘に付き合ってくれて。」
「いえいえ!いつもご贔屓にしてくださるセレジア様のためなら、なんでもやらせて頂きますよ!」
「嬉しいわ、私もレイも食べる方だからよろしくね。」
「俺よりもセレジアの方が食べ─。」
言葉を言い終える前に、レイはセレジアからの鋭い睨みを感じ咄嗟に口を閉じ、席に2人は着く。
運ばれてくるのは、焼きたての丸いパンで目玉焼きとベーコンを挟んだ料理、いつも注文するフルーツや生クリームがたくさん乗せられたパンケーキ。
鶏肉を使ったハーブステーキ、魚のマリネ、新鮮なサラダスティックなど多くが並べられる。
「豪華すぎて気圧されるな。」
「これくらいの量なら、2人で余裕でしょ?」
「まあな、腹一杯食べられる楽しさを刻めそうだ!」
「早速、頂きましょう。」
2人は手を合わせ、いただきますと告げ、目の前の料理を食べ進める。
席に着いた時点で、10皿程度の料理が並んでいたが、15分もあれば半分以上が完食されていた。
お淑やかに、スピードは早く、料理を楽しむレイとセレジア。
皿が片付けられると、店員が追加の料理を持ってくる。
彩野菜のソースをかけたハンバーグや、焼きたてのふわふわパンなども追加され、2人の食事テンションは常にMAX。
セレジアからギルドの開設方法を聞いたレイ、これから自分は何をするべきか、何をしたいかを考えていたが、今は目の前の食事に脳内をすべて書き換えられている。
「本当に、ここの料理は美味しいよな、セレジアが通い続ける理由がわかる。」
「あら、ここの料理の表を制覇したら、裏メニューを私の為に用意してもらってるから、いつかはそこまで辿り着きなさい。」
「へぇ、楽しみが増えたよ!わんぱくな料理が出てきそうだ。」
「褒め言葉として受け取るわよ、馬鹿にしてたら凍り付けにするところだったけど。」
「褒め言葉に決まってるだろ。ありがとう、セレジア、楽しい食事をさらに教えてくれて。」
「……どういたしまして。」
2人は食事を夢中に進めていった。
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