第52話 孤独な妹
レイはオウロの応急処置を始める。
爆発は、石同士が反応して破片が飛び散ったようだ、オウロの両足に切り傷が複数生まれている。
「すまない、レイ君。」
「何言ってる、俺はオウロのパートナーだ、これくらい頼ってくれ。」
レイは持参していた布でオウロの負傷ヵ所を拭い、止血まで完了させた。
さらに、近くに生えていた薬草をすり潰し布の上から塗っていく。
「この薬草は、肌に直接塗るには濃度が高すぎる、逆に傷口から体内に入るのは危険だ、効果は弱まるかもしれないけど、今はこれでどうにか。」
「薬草の知識なんていつの間に手に入れたんだい?」
「ああ、王都で俺の流派を調べるついで、サバイバルブックがあったから興味本位で読んだんだ。そしたら、なかなか面白くて読み切ってた、おかげさまで今効果を発揮してる。」
「……本当に、君は何事にも熱心だね。」
「俺には記憶がないからな、だったら、無いなら作る、無くしたら取り戻す。」
オウロの治療を終え、レイが肩を貸して歩き出す。
すると後方より、
「おおいっ!そこの旅の御方、良ければ乗っていくかい?」
行商人であろう、馬車に乗る男が声をかける。
「助かる、どこ行きの馬車なんだ?」
「ペトラ行きだよ!ん?お兄さん怪我しているのか、なら近くの町に寄っていこう!」
「それじゃあ、カラマタにお願いできるか?俺たちの住んでいる町なんだ。」
「お任せくださいね!医薬品も扱っているから、使えそうなものあったら言っておくれ!」
レイとオウロは行商人の馬車に乗り、カラマタまで進んだ。
道中レイは行商人から傷薬を買い、オウロの手当てをしていた。
行商人曰く、近頃騎士団がクエスト失敗した影響で、謎の輩が度々出没しているという情報を得た。
2人はカラマタまで運んでもらい、行商人にお礼と謝礼を払い別れた。
ギルドまで向かうと、
「いらっしゃいませ……レイさん!オウロさん!おかえりなさい!」
「ただいま、エリ。リーナは医務室にいるか?」
「リーナならいると思いますよ!って、オウロさん怪我されているじゃないですか!」
「悪い、エリ。オウロをリーナのところまで連れていってもらえるか、俺は少しマクセルと話したい。」
「分かりました、ギルド長は奥にいるのでどうぞ!」
レイからオウロを託されたエリは、医務室まで同行する。
そして、レイはギルドの奥に入り、
「ん?おう、レイ、戻ったか。」
「ただいま、マクセル。珍しく筋トレしていないんだな。」
「ああ、ついさっきまでしていたんだが厄介なものが流れ込んできてな。」
「厄介なもの?」
レイは周りに置かれているダンベルなどの筋トレ器具をまたいで、マクセルの座る長椅子の隣に腰かける。
マクセルがテーブルの上に広げていたのは、はがきサイズの1枚の紙。
そこに記されていたのは、
「騎士団内に裏切り者の報あり……マクセル、これって。」
「ああ、俺を慕ってくれている騎士団の1人がこの手紙を持ってきたんだ、ひどい怪我だったから今は医務室で寝てもらっている。」
「裏切り者って、騎士団がクエスト失敗したことに関係しているよな。」
「そうだな、もうイリオス中にクエスト失敗の情報は流れてる、追い打ちをかけるように騎士団の内部分裂があるとしたら、世界の均衡が崩れるな。」
「……マクセル、俺とオウロはここに来る1時間前くらいに、黒服集団に襲われたんだ。」
「黒服集団?」
レイとマクセルは向き合って話し始める。
「ああ、顔を見せないように全身黒い服装で、短剣を使ってた。そして、捕まる危険があると判断した途端、石を投げて爆発させたんだ。そのせいで、オウロは足に怪我を。」
「……それって、味方事殺そうとしてなかったか?」
「え、確かにそう見えた。マクセル、あいつらを知っているのか?」
「知っているって程じゃないが、俺が騎士団にいたころに1度似たような場面に出くわしたんだ。多分、アテネに記録が残っているはずだな。」
「そうなのか。……マクセル、オウロの事見ておいてくれ、俺はもう1度アテネに行ってくる。オウロの事だ、怪我してても着いてくるって言いかねないからな。」
レイの眼を見て、マクセルは止めても聞かないことを予測した。
「……分かった、俺も時間を作ってアテネに向かう、3日後に大図書館で合流しよう。」
「ギルドはいいのか?」
「なあに!ここにはエリとリーナ姉妹がいる!1日くらい空けても問題ない!」
「分かった、じゃあ俺は先に行くな。」
「ああ、無茶するなよ。」
陽が傾く中、レイはアテネに向け再度出発した。
馬車は使わず、走りながらアテネに向かう。
(アテネに着くころには、夜だな。夜はモンスターも活発になる、少しでも早く着かないと。)
息をあげながらも、可能な限り走り続けアテネに向かう。
その道中、
(すんっ、すんっ、なんだこの香り、知っている気がする。)
レイは嗅いだことのある匂いの方に向かうと、
崖が広がっており、辺りには林が。
(この辺りでまだ匂いがする、どこに……ん?)
レイは崖下に横たわる何かを見つける。
そこには、銀色の鎧が破壊されて散らばり、岩に横たわる人のような姿。
薄ピンク色のロングドレスに、剣が転がっているのも見受けられる。
「マジかよ、くそっ!」
レイは崖を滑り降り、倒れている人のところまで駆け寄る。
その人は、
「セレジア!おい、返事しろ!セレジア!」
レイが何度も話している、セレジアであった。
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