第30話 人型再来
「レイ君!それでラスト!」
「ああ、
レイの渾身の振り下ろしが、イノシシ型モンスターを腹から真っ二つに斬り倒し、クエスト完了。
「よしっ、これで今日もノルマ達成だな。」
「お疲れさま、レイ君。2週間連続で、1クエスト以上クリア、マクセルギルド長も喜んでいたね。それに、その武器に変えてから調子がさらに上がってないかい?」
「そうだな、この黒剣は俺の手に馴染むみたいだ。」
「やっぱり、
「オウロのは、何て流派だったか?せいぐん……術?」
「
対モンスターの流派としてはとても古く、さらには暴徒鎮圧向けに習得する人も多い流派である。
スピードに特化しており、光の様に放たれる攻撃が最大の特徴。
2人は魔石を回収し、カラマタに戻る。
その道中、
「今日のクエスト達成も含めれば、都市アテネからの表彰でギルドランクが上がるだろうね。」
「確か、カラマタはギルドランクA-Eまである中のCランクだよな?てことは、上から2番目のBランクになるのか?」
「そうだね、Bランクになれば町により多くの報酬が入るのと、住人の暮らしも豊かになるよ。人の行き来も盛んになるだろうし、いい事が多い。Aランクは、今のところアテネしかないから、国で2番目の規模に仲間入りだね。」
「この前のスタンピードと、ここまで連続でオウロとクエストクリアしたおかげで、俺はGからEランクまで上がれた。オウロはDランクになったんだよな?」
「そうだね、2人ならDランクまで受けれるようになったから、今度行ってみようか。」
この2週間、レイはオウロとの連携をさらに強固なものにするべく、クエストを毎日1つ以上クリアしていた。
加えて、レイの新武器、黒剣に慣れるためにモンスターの退治をメインに取り組んでいた。
そして、忘れていけないのは週に1度セレジアとレイの話し合い。
レイは自分が武器を変えた事などをセレジアに話し、セレジアからは
食事を始めにし、その後セレジアの家で情報交換という流れが出来つつあった。
毎回連れていかれる店はセレジアが選定し、カラマタでも目にしたことのない料理とその美味しさに感動すら覚えていた。
セレジアの特殊な武器についてレイは質問したが、もう少し経ってから教えると前回ははぐらかされていた。
カラマタに戻ると、ギルドが騒がしいのが目に入る。
「なんだ?騒がしいよな?」
「緊急クエストかもしれない、行ってみよう。」
2人が向かうと、
「レイ!オウロ!戻っているか!」
「マクセルギルド長、今戻りました!何事ですか?」
「おおっ、グッドタイミングだ!数週間前に、魔石に変わらなかった2足歩行のモンスーが現れたの覚えているか?」
「ああ、あの狼みたいなモンスターだよな。」
「そうだ、どうやら似た個体がここから1時間ほど離れた場所で見つかったらしいんだ、悪いが行って見てきてくれないか?」
「OK、行こうぜオウロ。」
緊急クエストとして発注された探索任務を、レイとオウロは受け現場に向けて走り出した。
「オウロ、2足歩行型モンスターの事何か分かったのか?確かこの前調べてたよな?」
「いや、少しカラマタを空けて調べてみたんだが、特に情報は手に入らなかった。魔石にならない所が、まだ不可解でならない。」
「……そうか。なら、また止めるしかないな!やるぞ、俺たち2人で!」
「ああ、今日2つ目のクエストで、危険度は群を抜いて高い、レイ君の気配察知に期待させてもらうよ!」
「任せてくれ!」
レイは感じていた、オウロはやはり何か隠していると。
だが、深く聞くタイミングではないと判断し、そのまま現場に急行する。
辺りは、広い草原が広がり好戦的でないモンスターが数体いる。
「この辺りだよな、目撃情報があったのは。」
「そうだね、でもいるのは草食のモンスターだけか。もう少し辺りを─。」
「来やがった!」
レイが視線を奥に移した途端、木の陰から音を置いてくるほどの速さで迫る物体が。
それは、一瞬にして草食モンスターを鋭い爪で命を狩り取る。
「あいつ、何して!?」
「モンスターが、モンスターを襲っている!?」
この世界では、モンスター同士での生息地争いは日常茶飯事。
だが、人が傍にいる状況で人の方ではなくモンスターを狙うのは0に等しい確率だった。
なぜなら、モンスターの領地を奪うのは人間。
その人間を最初に排除しようとするのが、モンスターの習性だからだ。
しかし、目の前に現れた2足歩行型モンスターは違う。
草食モンスターを襲うだけでなく、その魔石すら喰らっている。
「こいつ、やっぱり普通のモンスターじゃないよな。」
「ああ、また魔石にならないかもしれない、それに体の色が違うね。この前の個体は、全身灰色の毛だったけど、こいつは青い。」
目の前に現れた2足歩行型モンスターは、姿形こそ前回と同じオオカミタイプだが、色が晴天の空の様に青いモンスターだった。
そして、オオカミ型はレイたちを見つけ睨みつける。
モンスターの威嚇から、レイはしっかりと感じていた。
恐怖を。
(そうか、この体が縛られるような感覚は、俺の心が怖いって感じてたからなんだな。だから、体の自由がきかなくなった、セレジアと戦った時の様に。でも、セレジアと比べたら、オオカミ型の方が何倍もマシだ。)
「オウロ、俺が注意を惹きつける、その間にあいつをダウンさせられるか?」
「なるほど、出来るだけ傷つけないで捕えるってことだね、やってみせるよ!」
「任せたぜ、親友!」
レイは黒剣を構え、オオカミ型に一直線で攻勢に出る。
オオカミ型も反応し、50㎝程の強固且つ鋭い爪でレイを狙う。
オウロは走り出すタイミングを遅らせ、オオカミ型の隙を伺う。
「お前は何なのか、教えてもらうぞ!」
「がぁぁ!」
レイは地面にヒビが入るほど全身から足に力を込め、黒剣を振り上げる。
その攻撃に反応し、オオカミ型は右手を鋭く振り下ろす。
2つの攻撃がぶつかり合い、激しく金属音が鳴り響く。
レイは押し負けずに、再度黒剣を振りぬきオオカミ型に隙を作り出そうとする。
だが、身軽なオオカミ型は爪で弾くだけでなく軽やかに跳んで避ける。
二足歩行オオカミ型モンスターとの激戦が、繰り広げられた。
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