第239話 再会
オオカミ型はリン達に達するまで残り30m程。
アンジェとオウロが戦闘態勢に入る中、
優しく甲高い鈴の音が響いた。
「今度はなに?」
セラが辺りを警戒すると、リンはどこか懐かしい感覚を覚えた。
(この音、この感覚、まさか。)
そんなことを無視して、オオカミ型2体が先行して急接近し爪を伸ばしてくる。
アンジェ達が戦闘開始する、直前。
「離れなさい。」
先頭2体のオオカミ型の爪が何かに弾かれる。
「がぁ?」
「あおーん!」
オオカミ型は危険を察知したのか、咄嗟に距離を取る。
そして、アンジェとオウロの前に突如1人の人間が現れる。
「っ!?あ、あなたは!」
「なんで、ここが、分かったんだ。」
「そうですね、わたくしの意思を継いで頑張ってくれている愛弟子がピンチだったからでしょうか。」
振り返ったその姿は、
「だとしたら、少し遅刻してるぜ、ムクナ師範。」
「ごめんなさい、リン、アンジェ、そして2人を支えてくれてるお2人。遅刻した分、わたくしに後は任せてください。」
「あなたが、リンの言ってたムクナさん。」
そこに立っていたのは、ムクナ本人であった。
絹のようにサラサラな白いロングヘアーに、目はくっきりと大きく口鼻もはっきりした綺麗な顔つき、背はリンより少し低い170cmほど。
全身くまなく鍛えられており、細身の中に戦士としての風格を感じる。
毛先に青色のリボンをつけ、左耳に白い花のピアス、黒色のロングパンツに、黒いブラウス、銀色のロングコートを身につける。
腰には、リンの灰色の刀と似た白い刀を構える。
「1人獲物が増えたぞ。」
「飯が増えただけだ、殺せ!」
再度先頭の2体が迫り、ムクナに向け1体は爪を、1体は蹴りを繰り出す。
背後からの攻撃であったが、ムクナは冷静に呼吸し白い刀に手をかけ、
「わたくしの愛する弟子に手を出したこと、その身で詫びなさい。それと、今後は手出し無用でお願いいたします。
ムクナは抜刀と同時に、2体のオオカミ型の攻撃を避け顔を切り付ける。
その動きは洗練されており、無駄のない綺麗なものだった。
「うがぁ!?」
「なんだ、こいつ。」
「
続けて跳び上がり、回転しながら2体を斬り裂き地面に横たわらせる。
その時間、わずか3秒。
その光景を見たリンは、
「ははっ、やっぱり師範はチートだな。俺の技も、アンジェの技も使えるんだから。」
「ええ、うちらの学んだ2つの流派を生み出した親ですからね、動きが読めませんし何より美しい。」
「ここだけじゃ、涼しい顔して鬼畜なことを要求する、極S師範には到底見えないな。」
「聞こえていますよ!リン!久しぶりに再会しましたが、わたくしをバカにする癖は治ってませんね、後で覚えておくように。」
「うっ、セラから説教受けた後に、師範からもあるのか……。」
「自業自得よ、リン。」
冷静なセラの言葉を裂くかのように、
「生意気な女だ!殺せ!」
「がぁぁ!」
さらに3体のオオカミ型が速度を上げ迫る。
ムクナは刀を構え、前を向く。
「あなた達は、この数ヶ月ワノモトに侵攻してきていた。そろそろ諦めて欲しいものですね、ワノモトは奪えないと。」
ムクナは3体のオオカミ型の接近に一切動じることなく、
「
白い斬撃を放ち、オオカミ型を2手に分けさせる。
1体となった方をそのまま狙い、
「がぁ!」
「六の型、
オオカミ型が爪を振るうが、それはムクナの残像。
背中から斬り裂かれ、その場に倒れる。
「がうぁ!」
「終わりにしましょう、オオカミさん。
始まり、麗しき道。」
ムクナは居合斬りを放ち、2体の右腹に傷を入れる。
続けざまに、
「終わり、天女の標となり。」
反転して再度居合斬りを放ち、2体のオオカミ型を倒す。
戦闘時間、15秒の間に5体のオオカミ型を先頭不能にさせた。
「皆さん、よく来てくれました。ここで会えたこと、心より嬉しく思います。」
ムクナはリン達の元による。
「師範、お久しぶりです。アンジェ・ウラノス、帰還しました。」
「リン・ウラノスも同様です。多少、記憶が欠けているかもしれないが。」
「リン、あなたは多くのものを失いながらも、何とか取り戻してくれた、心から感謝します。わたくしも謝罪しなくてはいけないことが多くあります。ぜひ、皆さんとお話させてください。近くに、避難シェルターがあります。」
ムクナの案内により、リン達、
かなりピンチであったがムクナが増援に来てくれたことにより、何とか生き延びることに成功した。
「リン、とても成長してくれていてわたくしはとても嬉しいです。」
「俺も師範に会えてうれしいです。あんたが誰だか、分からないままじゃなくて良かった。」
「それが、あなたの強さなのかもしれませんね。まあ、先ほどの極S師範という言葉を許すつもりはありませんが。」
「根に持つタイプですよね、師範って。」
「よく分かってますね、この後がいろいろ楽しみです。」
「そ、そうですか、良かった?」
リンは引きつった顔で笑っていた。
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