第227話 変異種

「がぁぁ。」


 リン達の前にこれまでの二足歩行オオカミ型とは似ていてどこか違う、新種のモンスターが現れた。


「リン、私も手伝った方が─。」

「いや、セラはその部屋を開けるのに専念してくれ。時間を割かれるのが惜しい、それに、その部屋を開けるのはセラにしか出来ないことだ。大丈夫、命懸けで俺がセラを守るから。」

「その言葉、信じるわよ。お願い、リン、みんな!」

「了解!」


 3人が新種の狼型と対峙すると、


「がぅぁ!」


 これまでのオオカミ型よりも高い身体能力を持ち合わせている新種は、弾丸のようなスピードで迫る。


の型、月華乃凪ゲッカノカゼ。」


 リンは白い斬撃を3発放つ。


 だが、

 攻撃を予測していたかのように2発を避け、最後の1発を爪で弾きリン目掛け爪を伸ばす。


「確かに、これまでの個体とは何か違うな。なら!」

「僕たちチームで倒せばいい!初式改ショシキカイ陽の光ヒノヒカリ 。」


 オウロはリンに迫る爪を、スピードに乗せたかかと落としで弾く。

 流れるように、


「八段、青天の霹靂セイテンノヘキレキ。」


 足に短刀を装着し、アンジェは踊るように足蹴りを浴びせる。

 体に傷をつけることには成功するが、

 致命傷には至らない。


「硬さもかなりのものですね、一発大きい攻撃を確実に入れましょう!」

「硬い表皮の奴なら、オウロが得意だな。俺とアンジェで隙を作り出す、そこを狙ってくれ!」

「了解!」


 リンとアンジェは武器を構え、オオカミ型に迫る。


「あおーんっ!」


 それと同時に、遠吠えすると共にその場から姿を消す。


「やっぱり姿を消したか、アンジェ、あいつの動きを読めるか?」

「難しいです、あのオオカミ型からは1ミリも感情を読み取れません。」

「思考もせず、感情も持たないで暴れてるのか、ならこいつは、機械と同等じゃねんか。なら、作戦を考える暇はない、手数であいつを押さえ込む、いけるなアンジェ!」

「はい!」


 リンは自身の類稀な五感の鋭さを用い、

 ちょっとした足音や、微かな匂い、そして殺気を感じ取り、


(右後ろにいるな、狙いは、俺か。)

「二段、縦時雨タテシグレ。」


 リンは感じ取った気配を、瞬間的にアンジェと同調シンクロさせ、爪を伸ばしてきたオオカミ型に対し、縦回転しながら迫ったアンジェに受け止められた。


「ぐぁ?」

「今まで後悔はしたことはないと言いたそうな雰囲気だな。でも、上には上がいること、よく覚えておけよ!」

ナナ段、天つ風アマツカゼ。始まり、麗しき道。終わり、天女の標となり。」


 アンジェは短刀を収め、右足一点だけを狙い2度居合斬りを放つ。


「いぎゃぁ!」

「姿形は見えなくても、気配まで全て消せる存在はいない、相手が悪かったな新種!」


 リンとアンジェも咄嗟の連携を発動できるように、同調シンクロは常に発動していた。


 その光景をオウロは観察しつつ、


(これがリン君とアンジェ君の同調シンクロ、確かにまるでお互いが相手の動きを知っているかのように動く。これの真似は難しいね、でも、同調シンクロを応用した共鳴リンクが使えれば僕らも戦える!)


 リンとアンジェが両腕を弾き、バランスを崩したオオカミ型がどこにいるかを予測しながらオウロは走り出し、


終式改シュウシキカイ電光石火デンコウセッカ。」


 光のような速さで、鋭い蹴りをオオカミ型のいるだろう場所に放つ。

 その予測は的中し、オオカミ型は透明化を解除し、壁にめり込む。


「ナイスタイミングだ、オウロ!」

「2人の連携のおかげだよ、ただ、まだ動けるみたいだね。」

「っ!?伏せて!」


 アンジェの言葉で咄嗟に伏せた3人の頭上を、壁の破片が通りすぎる。


「まだピンピンしてるってか、タフだな。」

「本当ですね……っ、兄さん、オウロさん、肩を見てください!」


 アンジェが指さした先、オオカミ型の肩が内側から振動し、

 そこから、


「がぁ!」


 グチャッという音とともに、両肩から腕が生えてきた。


「おいおい、冗談だろ。オオカミが2足歩行だけでも厄介なのに、4本腕かよ。」

「おまけに透明化する能力も持ち合わせているなんて、身喰らう旅団の最新兵器と言った方がよさそうだね。」

「あまり時間をかけたくないですし、相手の動きもさらに読めなくなりましたね。……オウロさん!」

「ああ、僕も同じことを考えていた所だ!」


 アンジェとオウロがリンの前に立ち、


「リン君、セレジア様の護衛を頼む!」

「うちらがこの新種は何とかします、どんな攻撃をしてくるか分かりませんから、セラさんを守ってあげてください!」

「何言って、新種の強さだってまだ未知数だぞ!」

「だからです、相手が手札を見せてくれるなら、僕らも1つは手札を見せていいと思ってね。」

「しっかり目に焼き付けておいてください、兄さん。」


 アンジェは短刀を構え、オウロは拳を構える。


「がぁぁ!」


 新種オオカミ型は壁を削りながら彼らに迫る。


「僕達が今日まで練習してきた成果を、君とセレジア様だけが使える力で無いと証明して見せるよ。」

「はい、ここからは、うちらの共鳴リンクを見せる時間です!」


 アンジェとオウロも真正面から新種オオカミ型と対峙する。


 初めての敵に対して、アンジェとオウロは未だ1回しか成功していない共鳴リンクを使いこなすことは出来るのか。

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