第186話 故郷の為

 リンの刀と、オウロの拳、脚が火花を散らす。


「一の型、往華火オウハナビ。」

初式ショシキ雷光ライコウ。」


 振り下ろされる刀と、腰を落とした渾身の正拳突きが直撃。

 あたりの燃えた木々は吹き飛び、2人の戦闘の激しさを物語る。


 2人は正面から本気でぶつかっていた。


「オウロ、お前はなんで全部背負い込む!なんで1人で全てどうにかしようとするんだ!」

「リンくん、君な何のことを言いたいのか、僕には分からないな!」

「嘘が下手だな、オウロ。俺と訓練をする時は、もっと技にキレがあった、今のお前はオウロであってオウロじゃない!」

「っ!?分かったようなことを!終式シュウシキ閃光牙センコウガ。」


 サマーソルトでリンを弾くと共に、斬撃が迫る。


 だが、リンは冷静に斬撃を弾き、再びオウロに迫る。


 刀と足蹴りが火花を散らし、


「お前がこんなことを、何の罪もない人たちを巻き込むやり方を望むわけがない。お前の心は、こんな光景を1番望んでないはずだ!」

「何を根拠に、君は僕の全てを知っているわけではない、僕の本心がこの姿なのさ!邪魔者を消し、蒼き世界を作る─。」

「嘘ばかりを並べるな!」


 リンは風を切り接近し、拳を弾くと共に、


 ゴンッと鈍い音が響く頭突きを繰り出す。

 2人のおでこから血が滴り落ちる。


「うぐっ、君、手加減してるのかい。今の隙が最後だとしたら、君は勝機を失ったことになるよ。」

「何度も言わせるな、俺はオウロに勝ちたいんじゃない、オウロを理解したい。オルデン・アトラスという人物を、俺の人生を変えてくれたオウロを、古代騎士団のオウロという人間を。」

「そんなこと知って何になる!僕は僕だ、今の行いをしている時点で、もうわかりきってることだろ!」

「だったら何で、目的のために戦ってるっていうなら、何で周りを傷つけながら自分まで傷ついてるんだよ。」

「……。」


 リンとオウロは距離を取り、呼吸を整える。


「リンくん、僕は君という人間が恐ろしいよ、何で常に前に進もうと出来るのか、その強さはどこから来るのか。」

「そんなの、簡単だ。仲間がいるからだよ。俺には、セラ、アンジェ、カグヤ、レム、ルビア、たくさんの仲間がいる。オウロ、お前もその1人だ。」

「……この状況でまだ僕が仲間だと?甘い考えだね、僕は今、君を殺そうとしてるんだぞ、君の五感ならそれを理解してるだろ!」

「いや、違う。オウロは今演じているだけだ、俺を殺そうとする1人の人間を。お前の本当の目的は、他にある、違うか?」

「……くっ!」


 オウロが足蹴りを振るい、リンは刀で弾く。

 3度の火花が散り、刀と拳が鍔迫り合う。


「オウロ!お前に何があった、古代騎士団のお前は、何をしたいんだ!」

「……僕は、僕はみんなの仇を取らなくちゃいけない!古代騎士団は既に無くなってしまった、でも、彼らの意思は、彼らの願いは、僕の中で生き続けてるんだ!」

「仇を取る?それが身喰らう旅団に所属することに関係するのか?」


 2人は武器を弾き合い、再び距離を取る。


「僕の家族は、仲間は、皆いなくなってしまった。5年前のあの時、僕は何もできなかった。この手から落としてはいけないものをたくさん落としてしまった、だから僕はここにいる。」

「どういうことだ、ここにいることがお前の為になるのか?仇を取る為にここにいる、詳しく教えてくれ─。」


 2人が戦闘しているところに、

 リンはとある気配を感じた。


(この殺気、あの時のやつか!)

「また出会ったな、異世界の人間!」

「黒い大男か!」


 リンは大男と武器の火花を散らす。



 そこで、リンは驚きを隠せない。


「お前、その武器は。」

「ん?この刀が気になるか、ワノモトの人間!」

「この前はそんなもの使ってなかったよな、どういうことだ。お前も?」

「はっ!そんなわけねえだろ、俺はこの武器を使いたくて使ってるだけだよ!おらぁ!」

「ちっ!」


 大振りな一撃が、リンを数メートル吹き飛ばし、リンは体勢を整える。


「ふぅ、おいオルデン、苦戦してるみたいだから俺が加勢してやるよ。」

「B様……ありがとうございます。」

「へぇ、二体一か。」

「お前は相当強いみたいだが、数的不利な状態でも同じか見せてくれよ!」


 Bがリンに迫り、オウロもリンに突撃する。



 そこへ、


「いいや、俺は1人じゃないってことをみんなに教えてもらった、そうだろ、アンジェ!」

「もちろんです!」


 オウロの横から、アンジェが短刀を構えて迫り、拳で受けながら2人は距離を取る。


「くっ、アンジェくん。」

「オウロさん、ここで戦うことになるんですね。」

「君には感謝しているよ、僕のことを見逃してくれたからここにいられる。」

「そうですね、ならうちはオウロさんを止めなくてはいけませんね、責任はしっかり果たします。」


 アンジェはオウロと武器を構える。



「オルデンは女の方に捕まったか、なら俺はお前との戦いを楽しませてもらうぞ、同じ刀を使う者、どちらが上か証明してみようぜ!」

「戦いを楽しむお前に負けるわけにいかない、ここで死んでいった人達のためにも、お前達が何をしたいのか教えてもらうぞ。」


 リンはBと呼ばれる黒服の大男と戦闘を開始した。


 この町での戦いはさらにギアを上げていくことになるようだ。

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