第124話 心の在処
リンは黒いリンとの戦いをなんとか継続していく。
体から血を垂らしながらも、リンは攻勢をゆるめず、黒い自分の攻撃もなんとか捌いていく。
「いいじゃねえかレプリカ!そのままもっとギアを上げていけよ!俺がもっと楽しめるようにな!」
「誰がお前の好きに動いてやるか!一の型、
「へっ!一の型、
リンの抜刀と黒いリンの振り下ろしが弾き合い、散った火花が辺りを照らす。
リンは自分の腕が震えるのがわかった。
(力の入り方が弱い、出血しすぎてる。短期決戦に持っていかないと、俺の体がもたない。)
「少しはキレが良くなったな!ただ、そんなもんで俺を超えられるか!レプリカ!」
鋭い突きを防ぎながら距離を取るリン。
呼吸を少しでも整え、頭をクリーンにさせていく。
(……体が重い、このまま自分の体を操れるのは20秒が限界。それまでにあいつを倒さないと、俺は死ぬ。なんでだ、なんで俺はこんな動きを……っ、そうか。)
「なんだ!何か思いついたような顔だな!レプリカ!
黒いリンが2体の分身を生み出し、トライアングルでリンを囲む。
そして、リンに突き進むと同時に、居合斬りを放つ。
しかし、黒いリンの攻撃はリンに直撃せず、分身2体を掻き消し、本体の黒いリンと鍔迫り合っていた。
「へえ、よく見抜けたな、レプリカ!」
「分かったぜ、俺がなんで新しい感情を、恨みを思い出したのか。俺は、必死に頑張ってるセラを邪魔するロペスが許せなかったんだ。」
「あっ?何言ってやがる。」
「努力はいくらしても結果が出ないと認められない。でも、その過程を無視することはその相手に対して最大の侮辱といってもいい。セラの努力を見ようともしないロペスを、理解しようとしないセラの家族を、俺は恨んだんだ。」
「へぇ、恨みの理由が分かったか!それなら良かったじゃねえか、少しでも自分を理解できて死ねるんだからよ!」
黒いリンはリンを弾き、体勢を整えすぐに突き進む。
迫る黒い自分に対し、リンは頭は冷たく、体は熱く反応した。
そして、黒剣を構え、これまでの雰囲気と違う左手を前に構え、黒剣を弓矢のように引き絞る。
「
「っ!?」
黒いリンは白剣を振り下ろし、タイミングを合わせてリンは突きを放つ。
2人の攻撃が重なったと同時に、リンの黒剣から遅れて衝撃波が生まれ黒いリンを吹き飛ばす。
「んなっ!?」
「ありがとう、黒い俺。ここで、終わらせる!
弾丸のような速さで突きを繰り出すリン。
白剣で受け止めた黒いリンだが、鋭い突きが白剣にヒビを入れ、
続けて、同じ部位に遅れてやってくる2発目の突き。
最初の攻撃は、突きに続いて衝撃波を生み出していたが、
今回の攻撃は、突きが襲った場所を、コンマ数秒の間隔でもう1回突きが襲った。
腕が伸び切る前に一度突き刺し、伸びきるタイミングで二度目を突き刺すことで成り立つ技だ。
その結果、
パリンッと甲高い音が響き、白剣がその場で折れ地面に落ちる。
リンは黒い自分をではない、黒い自分の武器を破壊して戦闘を継続させないことを選んだのだ。
「はぁ、はぁ、終わりだ、俺!」
「ちっ、まあいい、今回もお前の勝ちにしておいてやるよ。」
リンは黒剣を下ろすと、一瞬にして手から消えあたかも元から無かったかのようになる。
「へっ、甘ちゃんなのは変わらねえな、レプリカ!俺をここで殺しておけば、もうお前の前に現れなかったかもしれないのによ!」
「いや、それは困る。俺は、お前からたくさん学んでる、今回も恨みとか、怒りとか、負の感情は全て悪いものじゃない、制することができれば自分の力に変えられることを教わった。」
「はっ!なら、あと2回だな。お前が
「言っただろ、可能性が0じゃない限り俺は挑み続ける。」
「そうかよ。なら、俺を倒した報酬だ、一つだけ教えておいてやる。感情ってのは、1人で全てコントロールできるものじゃない。お前がまた感情に呑まれないか、楽しみだ。」
黒いリンはリンの目の前から瞬間的に姿を消し、その場にはリンだけが残る。
「……レプリカ、俺はお前のレプリカなのか?だとしたら、オリジナルのお前がなんで俺の内側にいる。俺はどこにいて、お前ば誰なんだ。ちゃんと答え合わせさせてくれよ、俺。」
戦いを終えたリンは目を瞑り、あたりの空間が消えていくのがわかる。
これまで通り、元の世界に戻る合図だろう。
黒いリンとの戦いでまた一つ成長できたリン。
だが、黒い自分が話していたレプリカというワード、そして、感情に固執した彼の言葉。
はたして彼は、リンに何を与え、何を伝えようとしているのか。
それを知るためにも、今のリンは死ぬことなど許されるわけもなく、まずはこの世界から抜け出しセラとアンジェがま待つ場所にまで戻るのであった。
黒いリン対リン、リンの勝利で決着。
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