第110話 3人目のメンバー

 昼はシオンのサポーターにルビアを置くべく流れを、オウロを中心にこれから徐々に慣れさせていくことで決まった。


 ただ、オウロが専属でつくことも難しく、ルビア1人では不安なため、リン、オウロ、アンジェが交代で面倒を見ることで、多角的視野を持てるとも考えていた。


 そして昼は解散し、皆各々の持ち場に戻り仕事をしていた。


 リンとレム、アンジェは3人で新作メニューを開発した。

 オウロは早速ルビアとカグヤと共に、サポーターに必要な事を話していた。


 住民も農作や、近くの川で釣りをしてシオンに納品していた。




 その日の夜、リンはとある人物に呼び出されていた。



 シオンから外に出て、数分歩いたところに綺麗な川がありそこにアンジェは体育座りをしていた。


(アンジェ、最近様子がおかしいとは思っていたけど呼び出した目的は何だ?明るい話ではないよな。)

「兄さん、すみません急に呼び出してしまって。」

「気にするな、相談したいことでもあったんだろ?アンジェは俺に相談する時、その数日前から少し距離を取ってくる。まるで、気にかけて欲しいように。」

「え、うちってそんな人でしたか?なんか、かまちょみたいで複雑な気持ちです。」

「かまちょなんじゃないのか?」


 リンはアンジェに横腹に拳を入れられ、咳き込む。


「えほっ、えほっ、いきなりなんだ。」

「なんでも正直にいうところは変わらないんですね、少しムカついたので体に教えてあげただけです。」

「事実を言っただけなのに……。それで、相談はギルドメンバーのことか?」

「はい、そうです。」



 スタンピードが発生して2日が経過したとき、リンはアンジェと話している中で、シオンのギルドメンバーになって欲しいと依頼していた。



 だが、1日考えたアンジェの返事は、


「お断りしますって、3日前言ってたよな。でも、あの言葉はアンジェの心からの言葉だとは思えないんだ。」

「……なぜ、そう思われるのですか?」

「アンジェは感情が顔や体に出やすいんだよ、あの時のアンジェは、何かを我慢して言葉を発してた。それを見れば、本心じゃないことくらい分かるよ。」

「さすが、うちらやっぱり兄妹なんですね。そこまで見抜かれてるなんて。」

「なあ、教えてくれ、シオンのギルドメンバーになりたくない理由を。大きな理由があるんだろ?」


 リンはアンジェの隣に座り、アンジェの話を聞く。


「……うちは、ギルドメンバーになる資格はないと思うんです。」

「ギルドメンバーになる資格?」

「はい、うちは初めて兄さんに会った時、流派の教えに従って記憶がない兄さんを排除しようとしました。そして、オウロさんにも刃を向けてしまいました、そんな人に背中を任せられると思いますか?」

「任せられるに決まってるだろ。」


 リンの即答にアンジェは驚きを隠せず、リンを見つめる。


「だって、あの時のアンジェの顔は、苦しみに囚われてた。俺たちの流派は、極めた者がもし裏切りなどした場合、多くの命を奪いかねない力だ。それを、アンジェは防ごうとしてくれただけだ。」

「それでも、うちはお2人に武器を向けてしまった、お2人に許されない事を─。」

「だったら、俺たちと共に戦う事を贖罪としてくれないか?俺は、俺たちはアンジェを必要としている、その強さも、真っ直ぐに伝える意見力も、優しさも、全てを俺は欲しいと思ってる。」

「……。」


 リンはそっとアンジェの顔を自分の胸に寄せる。


「それに、これ以上兄妹が離れるなんて、俺は嫌だ。やっと出会えた元世界のアンジェを、手放すつもりはない。もしギルドメンバーを断ったとしても、俺は無理矢理にでもシオンに置いておくさ。」

「……兄さん、うちのわがままを言っても、いいでしょうか?」

「なんだ?」

「うちは、自分の過ちを、兄さん達を傷つけた自分を許せません。でも、うちを兄さん達が必要としてくれるなら、この命をかけてうちがうちを許せるようになるまで共に戦いたい。こんなわがまま、聞いてもらえますか?」

「はははっ、当たり前だ!可愛い妹のわがままくらい、兄だったらいくらでも聞くよ!真面目すぎる、アンジェ・ウラノス!」


 リンの眩しい笑顔は、そっと顔を上げたアンジェを心から解放してくれた気がした。


 そしてすぐに胸に埋まり、


「に、兄さん、頭、撫でてくれますか?」

「え、ああ。」


 そっと撫でられるアンジェの頭。


「これでいいのか?」

「はい、後5分、こうさせてください。そしたら、うちは明日からギルドメンバーに正式になって、より一層頑張れる気がするんです。」

「5分でそうなってくれるなら、安いもんだ。」

「え、じゃあ1時間で─。」

「調子に乗るな、それに手が疲れるから却下だ。」

「可愛い妹のお願いでしたのに!でも、もしそのご褒美をもらえる日が来るときは、うちがもっと活躍したときですね!」


 アンジェは心の不安をリンに解消されたことで、正式にシオンのギルドメンバーになる決意を固めた。


 これでギルドメンバーは、リン、オウロ、アンジェの3人。

 残る1人は……。

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