第109話 サポーター

 10分後、リン、アンジェ、レムによって昼ごはんが運ばれてくる。


 ダイス状にカットされたチーズを練り込んだ焼きたてのパン、

 白身魚をパプリカなどの野菜と炒め、酸味を強めにして作ったあっさりめの野菜炒め、

 豚肉を炭火で表面を焼き、オーブンで焼き上げた豚肉のロースト、

 トマトをふんだんに使い、コーンで彩りよくしたトマトスープ、

 以上4品が並んだ。



 6人は手を合わせ、


「いただきます。」


 食事を進める6人、パンはリンが焼き、スープはアンジェが担当、他2品はレムが作り上げていた。


「うん、美味しい!パンチのある肉料理から、あっさりして酸味が聞いた野菜の相乗効果でとても食べやすい!僕好みの野菜料理に感じるよ!」

「本当にね、リンもアンジェもレムも、どれだけ知識と技術を持ってるんだろうね。」

「ある意味カグヤの鍛治技術と同じだと思うぜ、俺とアンジェは、体のことを考えたレシピを前の世界で教えられてた。」

「それだけ過酷な訓練でしたからね。そしてレムさんは。」

「皆さんに喜んでもらえる事を最優先に考えて、メニューを考えてみました!」


 笑顔と会話が飛び交い、6人で食事を楽しむ空間。


 だが、シオンに来たばかりの頃、ルビアは食事を大勢で食べるのに緊張している様子だった。


 それもそのはず、ラミアの時は奴隷として扱われ人として生きるための最低限しか提供されなかった。


 加えて、人という生き物に恐怖以外の感情が生まれない状態だったのだから。




 それでも、ラミアで助けられたオウロと2人で食事をとり、リンと食事をとり、アンジェ、レムと少しずつ交流をしていくにつれて大勢でいる空間を好むようになった。


 そんなルビアにリンが問いかける。


「ルビア、どの料理が1番好きだ?」

「……!」


 紙にペンで文字を書き、


「お肉美味しい!レムの料理に負けた……。」

「さすがルビアちゃん分かってますね!これからもっと美味しいと思ってもらえるもの作りますよ!」

「兄さん、レムさん、うちも時間ができた時はレシピ開発してもいいですか?野菜たちを育てていく中で、何個かイメージが湧いてるものがあるんです!」

「むしろこっちからお願いしたいぜ、アンジェの自信作も期待してる!」

「……!」


 ルビアは再びペンで文字を書き、


「ルビアも作りたい!そうだね!あたしたちと一緒に作ろう!何がいいかな〜。」

「……なあ、ルビア、一つ聞いてもいいか?」

「?」


 フォークとスプーンを置いて、静かなリンの問いかけに、ルビアは首を傾げる。



「ルビア、この村の、シオンのサポーターになってくれないか?」

「?」

「リンくん、流石に急すぎるんじゃ。ルビアちゃんはまだ13歳で、これまでとても辛い生活を強いられてきたんだ。自分のことだけで精一杯だよ。」


 オウロの意見はもっともである。

 幸せなんてない、苦痛な生活を送っていたのだから。



 だが、ルビアは再び文字を書き、


「サポーターは何をするんですか?そうだよな、簡単に言えば。」


 リンはルビアにサポーターについて説明する。


 基本的な業務は、管理人代行であるカグヤのサポート。

 特に、ギルドの運営にとても重要なポジションになる。


 クエストの管理から、ギルドメンバーの管理、受付から完了報告までギルドを管理人と共にまとめるギルドの要。


 そこに、リンはまだ言葉を発せられないルビアを採用しようとしていた。


「うちも、オウロさんの意見に賛成です。ルビアちゃんは確かに高いコミュニケーション力がありますし、ギルドメンバーからも頼りにされるかもしれません。けど、いきなりサポーターにおくには責任が重過ぎます。」

「それは確かに否定できない。でも、ルビアは聞くことができる、だとしたら話すことも出来るようになるのはそう遠くないと思うんだ。それに、言葉はなくても俺たちはルビアとコミュニケーションは当たり前に取れる。」


 ルビアは口に入れたパンを飲み込み、リンの隣まで歩いていく。


 そして、皆の方を振り向き、紙に書いた文字を見せる。


「みんなが手伝ってくれたら、ルビアはやってみたい!……でも、君はまだ心も体と傷が─。」

「オウロさん、あたしはリンさんの意見に賛成です。確かに、舞台が大きくなりすぎるかもしれない、だったらあたし達が手を貸せばいいだけじゃないですか、それになにより、

「レム、くん。……そうだね。」


 リンはオウロがルビアだからではない、子供が何か大きな責任を持つことに不安を感じてる事を察した。


 そこで、


「オウロ、ルビアがサポーターになったら、オウロが隣についてあげてくれ。セラが戻らない限り、ギルドはまだ発足できない、それまででもルビアの助けになれたら、みんなが安心できるんじゃないか?」

「リンくん。……そうだね、分かった。ルビアちゃん、僕も手伝うから一緒にサポーターを頑張ってみようか。」

「!」


 ルビアは文字を書き、


「ありがとう!オウロお兄ちゃん、か。うん、任せてくれ。」


 こうして、ルビアはシオンのサポーターとして活躍するための日々が始まった。


 シオンが一つの村として本格的に稼働する日は、着実に近づいて来ていた。

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