第295話 ワノモトの地へ

 リン達は眩い光に包まれ、イリオスから姿を消した。


 4人は、全身を温かく包まれている感覚で手を繋ぎながらどこかに流されて行った。


 先頭を進むのはセラ、セラによって辿り着く先が変わる。


 セラもこれまで以上に集中し、先に進む。


 すると、視界に白い光が現れ、


 パッと4人を包んだ。




 そうして、辿り着いたのは、


「……ここは、ワノモト、だよな。」


 リンは辺りを見渡し、ワノモトに多く咲く桜の木がたくさん生えているのを確認できた。


「はい、私たちが転移する時に向かったユグドラシルのそばですね。背中に、ユグドラシルがあります。」

「良かった、私たち、戻って来れたみたいね。っ。」


 ふらつくセラを、リンが支える。


「悪い、無茶させたな。」

「これくらい、みんなを守って連れてくる為ならなんてことないわ。」

「みんな、周りを見てくれ。これは。」


 オウロの言葉で、4人は周りを見渡す。


 そこには、多くの人が倒れ、血を流して倒れている者から無傷の者まで多くの人が倒れていた。


「ここに倒れてる人って、ワノモトの戦士だけじゃないですね。恐らく、オオカミ型だった人たちも一緒にいます。」

「やっぱり死闘になっちまったんだな。被害はここだけなのか、城の方はどうなってるんだ─。」


 リン達が動き出そうとした時、とある気配を感じた。


「この感覚、まさか。」


 近くの茂みから1人歩いて出てくる。

 それは、


「リン!支援課(ダーヴ)の皆さん、お戻りになりましたか!」

「ムクナ師範!無事だったか!」


 リン達の前に現れたのは、リンとアンジェの師範であるムクナであった。

 体に傷が多く残されているが、正真正銘ムクナ・ベゴニア。


 リン達はムクナとの再会を喜ぶ。


「よかった、師範。こんな状況でも、ちゃんと生きててくれて。」

「もちろんです、わたくしはリンとアンジェの師ですよ、そう簡単にくたばらないことは2人がよく知っているでしょう?」

「そうですが、明らかに劣勢でも生き抜く師範、本当にすごいです!」

「わたくしだけじゃないわ、この戦いを終わらせてくれたあなた達がいたから、今ここで生きられているんです。感謝します、ワノモトをわたくし達を救ってくれて。」


 ムクナと合流したリン達は、情報交換を始める。


 ワノモトはリン達がいなくなってから、ムクナを中心にワノモトの戦士がオオカミ型の足止めにあたった。

 数はオオカミ型の方が多く、劣勢。


 そんな中で、ムクナは多くのオオカミ型を倒していった。

 アカツキのいる城に近づけない為、数えきれないほどのオオカミ型を。


 戦士達もムクナに続き、劣勢であっても誰1人諦めずオオカミ型と戦い続けた。


 その戦いの最中、戦士達が疲弊していたところで、オオカミ型が途中で動きが鈍くなり、人の姿に戻った。


 そのタイミングは、リン達がベガとブラッドを止めた時間と一致していた。


「あなた方が根源を止めてくれたおかげで、わたくしたちはここで生きられる。ありがとう、支援課(ダーヴ)のみんな。あなた達を信じて、本当に良かった。」

「こちらこそ、イリオスに送り出してくれてありがとう、師範。でも、まだ全て終わったわけじゃない。これからの動きを一緒に考えたい、時間をもらえるか?」

「もちろんです、アカツキ様もその場に必要でしょう、わたくしと一緒に城に向かいましょう。」


 リン達はムクナの後につき、ワノモトの城へ向かい始めた。


「師範は戦いが終わった後は、ここで何をしていたんだ?」

「辺りを警戒して回っていたわ。突然オオカミ型が苦しみ始めて、徐々に姿が人間に戻ったと思ったら息をしていなかった。助ける暇もないくらい、突然のことだった。だから、もしかしたら1人でも生きている人はいないか探していたの。」

「魔石を使った人は、誰1人例外なく助からないのかもな……イリオスでも同じ状況だった。……待てよ?」


 リンの頭の中に、ベガが亡くなる直前セラに触れていたことを思い出す。


(もしかして、ギガスの呪いがセラの体からなくなったのは、魔石の効果が関係している?レア家が引き継いできたものだけど、それを阻害するものがあったとしたら、その流れは断ち切られてもおかしくない……。後でセラに相談してみるか。)


 リンが考え事をしているその道中、アンジェがリンとセラに問いかける。


「兄さん、セラさん、イリオスのアネモネで作戦会議し終わった後、2人で何か話してましたよね?」

「ん?ああ、そうだな。」

「私たちはイリオスとワノモトを救うことが目的だけど、この一瞬だけを救えても意味がない。長い目で両世界が安定しないと、皆が笑顔で過ごせない。だから、私たちのやれることを話し合ってたのよ。」

「そうだったんですか、てことはこれからどうするのか決めてるんですね?」

「ああ、ただこれにはアカツキ様の許可も必要だ。この一連の戦いの締めはこれから始まるってところだな。俺たちの選択が、間違っていないと証明するために。」


 リン達はワノモトの女王、アカツキと話すために城に辿り着いた。

 リンとセラが、イリオスとワノモトを救うために考えた作戦。


 はたして、アカツキの同意の元最後までやり遂げることは出来るのか。


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