第294話 いざ行かん

 リン達はシオンにて治療を受け、マクセル達と役割分担をし、ワノモトに戻る方法を探すため、イリオスに戻ってきた場所に向かっていた。


 シオンから馬で30分ほどで辿り着く距離であり、リン達が戻る為の数少ない手段を確認しに。


「みんな、体は動かせそうか?」

「うちは平気ですよ。というか、兄さんとセラさんが特に危ない状態だったんですから、うちらの心配よりも自分の体を心配してください!」

「私もシオンで治療を受けられたおかげで、体は少し動かせるくらい軽くなったわ。まあ、戦闘は避けたいところね。」

「オオカミ型の気配も、モンスターの気配も今はありません、今のうちに僕たちの戻ってきた場所に辿り着いておきましょう。」


 4人は馬を走らせ、目的地まで一直線に向かった。


 やがて、目的地が見えてくると、


「ん?あそこだよな、俺たちが出てきたのは。何か雰囲気が番うような。」

「そうね、あんな輝きをはなっていたかしら?」


 リン達の目には、光り輝く1本の木が。

 リン達がイリオスにたどり着いた時は、特に光を放っていなく他の木々とも違いはなかった。


 しかし、今目に映る木は眩しく光り輝いていた。


 目的地に辿り着いたリン達は馬から降り、光り輝く木を調査することにした。


 形は他の木と変わらない1本の木。


「セラ、この木に魔術が使われてるって認識で合ってるか?」

「微妙に違うわね、魔術とは雰囲気が少し違うし、周りに魔術を発動した人の気配がない。それにこれだけの光を放つ魔術は、使われた時点で私が気がつくと思うわ。」

「そうすると、イリオスで起きているってことよりは、ワノモトから影響している木って考える方がいいですね。」

「ええ、オウロの言う通りよ。どこかに繋がっている雰囲気は感じるわ。ただ、確証が持てないのが辛い所ね。」


 リン達はワノモトからユグドラシルを使って移動してきた。

 その影響が残っており、リン達が戻ってくるタイミングで再発動したとオウロは予測した。


 ただ、すぐに試すことはせず、慎重に調査を進める。

 リンが木の枝を調べていると、


「……この枝、イリオスに生えている他の木とは全く違うよな?確かこの枝は、桜って木の枝のはずだ。アンジェも見覚えは無いか?」

「確かに、これはワノモトの有名な木の桜のものですね。イリオスでは見たことありませんからここだけに生えているようですが、なぜここに?」

「ユグドラシルで転移した時の影響かしら。私はイリオスの魔術については詳しいけど、異国のことは全く分からない。この違和感は、ユグドラシルに繋がっているのかもしれないわね。」

「だとしたら、俺達はセラの違和感を頼りに進めば、ワノモトに帰れるかもしれないな。その作戦でいくのはどうだ?」


 リンの提案に対し、セラは、


「それでも、皆を危険な目に合わせるのは怖いわ。時間がないことは分かっているけど、焦って失敗をしたら……。」

「セラ、俺達は嫌って程大きな壁を何回も乗り越えた。今回もその1つにすぎないと思っている。選択を間違えて命を落としたベガが頭に浮かぶんだよな?」

「……ええ、私の選択のせいでみんなを危険な目に合わせたら責任が取れない、もっと確実な方法を探したいと思ってしまう。」

「それは、正しいことだと思う。ただ、今のセラは、責任を感じ過ぎている。その責任、俺達にも分けてくれよ。」


 真っすぐ見つめる3人を、セラは見つめ返す。

 その目に、迷いは無かった。


「セラさん、あなたの魔術は、経験は誰よりも信じられる根拠になります。うちらはそんなセラさんを信じたい、もちろんお手伝いはします!」

「今の僕らを導けるのはセレジア様だけです、どうかその力を貸してください。」

「俺たちは、仲間の為ならどんなことにでも挑戦する覚悟がある。セラ、やってくれないか?」

「……分かったわ、私のすべての力を使ってワノモトにみんなを連れ戻して見せるわ。みんな、力を貸して頂戴。」


 セラは光り輝く桜の木の、真ん中に手を触れる。


(この流れは、どこかに続いている。この道を外れないように意識し続ければ、たどり着けるはず。後は、私の集中と意識を保つことができれば。)

「イメージが湧いたか、パートナー?」

「ええ、みんな手をつないで頂戴。私は意識を集中させるから、倒れそうになったら支えてほしい。」

「了解、それじゃあみんなで戻ろうぜ!ワノモトに、アカツキ様のところに!」


 セラは目を瞑り、そのセラからリン、アンジェ、オウロを桜の木と同じ輝きが纏う。

 徐々に光が強くなり、4人が1つの大きな丸い光となっていく。


 そして、


 イリオスから突如として姿を消した。

 4人が消えた後も桜の木は輝きを失わず、リン達4人だけが元からそこにいなかったかのようにその場からいなくなったのだ。


 はたして4人は謎の光り輝く桜の木からワノモトに向かうことは出来たのか。

 そして、リン達を送り出す際に大規模なオオカミ型の襲撃を受けていたワノモトは、ムクナは無事なのか。


 戦いを終えたリン達を、ワノモトで待ち受けるものとは。

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