後編③

 廊下から“お姫様だっこ”でベッドへ連れて行ってもらってからは、私は全くの“お子ちゃま”になってしまってコウキくんに一晩中付きっ切りの看病をしてもらっていた。


 なのに、

 いつしか寝入ってしまった私は……目が覚めたら傍に十朱さんがいらっしゃったので本当に驚いてしまった。


「コウキは学校へ行かせたわ。あのコ、出掛ける時にまるで『病気の恋人を残していく男の子』っていう切ない顔してて、可愛かった。あの子と何かあった?」


 確かに……べったりと甘えてしまった私は……、カレに背中まで拭いてもらっていた。


「……ほんの少しありましたけど、ご心配なさる様な“間違い”は犯していません……」


 そう申し上げると、十朱さんはクスクスと笑った。


「心配なんかしませんよ。歓迎はするかもだけど」


「えっ?! えっ?!」と聞き返す私の頭を十朱さんはそっと撫でた。


「それじゃ、私が介助するからお風呂入ろうか?」




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