コンビニ
電話を終えると竹原が「買い物をしたいです」と言ったので、夕食や明日の朝食のこともあるのでそのままコンビニで買い物をすることになった。
店内に入りカゴを持つと、同じように竹原もカゴを持つ。
「会計は同じでいいだろう」
思わずそう言うと彼女は困ったように笑う。
「えっと、欲しいのはスキンケア用品とかなので、」
その位俺に払わせてくれてもいいだろうにと竹原を見つめ続けると、彼女は視線をうろうろさせて恥ずかしげに呟く。
「その、下着も買いたいなぁって思って……」
しまった! そう強く思う。
「し、しつこくしてすまなかった!」
彼女から急いで離れる。今回は別々に買い物をする方が良さそうだ。
……それにしても、察しの悪いキモいおっさんだと思われてしまっただろうか? いや、竹原に限ってそれはないとは思うが。
多分、いや確実に俺は今舞い上がっている。竹原を自宅に招くことが出来て嬉しいと思っている。
勿論竹原の母親に約束した通り手はださないつもりだが、いつもは買い物をしていても視界に入りすらしない避妊具が今日はやたら気になって仕方なかった。
いかんいかん、性欲を理性でコントロール出来ないなんてそれこそ性犯罪者と同じではないか。ブンブンと大きく頭を振って煩悩を打ち消した。
買い物を終えて車に乗ると、竹原の表情は固かった。口数も少ないし、きっと疲れているのだろう。
「竹原、疲れたなら眠っていいぞ。まぁでも直ぐに起きないといけないがな」
「だ、大丈夫です!」
「……大丈夫という表情にはとても見えないが? 具合が悪いのか?」
竹原の顔色は青白くなっており、かすかに震えている。雨に当たっていないはずだが、体が冷えたのだろうか?
「その、具合が悪いというか……えっと、買い物をしていたら先生のお家にお泊まりなんだなぁって実感がわいてきて……」
「わいてきて?」
「心臓が口から飛び出しちゃうんじゃないかってほど早鐘を打ってるんです。つまり緊張のし過ぎで気持ち悪い」
「……そうか、どうか口から心臓を落とさないように気をつけてくれ」
もしものことを想定してコンドームも一応買っておいたが、彼女がこの調子ではとても使うなんてことは出来ないな。
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