お泊まりデートは計画的に
デートのお誘い
いつも通り大好きな先生の研究室で寛いでいる時だった。
「
先生は唐突にそう言った。
ホットオレンジジュースが注がれたマグカップを持ってキョトンとするわたしに、先生は苦笑混じりに続ける。
「まぁなんだ、“デート”というやつだな」
デート、つまりそれは親しい男女がふたりでおでかけするってあれよね??
…………え? わたしが先生とおでかけ?? なにそのご褒美は。わたし、前世でどれだけ徳を積んだの??
これは……もしかして夢かもしれない。急いで確かめないとっ!!
「えいっ!」
かけ声と共にバシンと大きな音を響かせて自分の右頬を叩く。すると頬は直ぐに熱を帯びてジンジンと痛みだす。
「痛い、夢じゃない!」
「“夢じゃない!” じゃない!! 何をやっとるんだ、お前は!!」
「げ、現実かどうかを確かめただけですけど??」
「そんなことで躊躇なく、それも本気で自分の頬を叩くやつがあるか! ……待っていろ」
先生はため息をつきながら部屋の隅にある給湯スペースへ行くと、冷蔵庫から冷却剤を取り出して戻って来て──。
「つめひゃい!」
「我慢しろ」
キンキンに冷えたそれをわたしの頬に押し当てた。
「竹原。お前は他者のことは思いやれるのに、自分のことは大切にしないきらいがあるな」
「そう、ですかね?」
そんなことを言われてもいまいちピンとこないけど──
「自分自身をもっと労ってくれ。そうしてくれたら俺は嬉しい」
「はい、分かりました!」
先生が嬉しいのならわたしはわたし自身を大切にしようと思う。
「……それと、俺がお前をデートに誘うことを夢だと疑うのはやめてくれ。恋人同士なら普通だろう」
恋人同士、その甘いフレーズにわたしはデレデレと照れながら笑うことしか出来なかった。
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