緊張のあまり……
「それで? 竹原の感性で明孝さんがかっこいいってのは分かったけど……それの何が困るの?」
“竹原の感性で”というフレーズを強調されてしまったけど、それについては今は黙っておく。だって話が前に進まないのだもの。
「先生がかっこよ過ぎるせいですっごく緊張したり照れちゃったりして、先生に不快な思いをさせてしまってるかもって。これも全部先生がかっこよ過ぎるせい……」
「相談のふりして惚気るのやめてくれる?」
「相談です、相談!」
さっきからわたしは事実しか言ってないのに統瑠くんは厳しいなぁ。
「じゃあ竹原が思う不快な思いってどういうの?」
「そ、それはその……先生とふたりきりになって、えっとね、そ、そういう雰囲気になった時にね、どうしても緊張しちゃって最後まで出来ないの、そういうのが続いたら先生も嫌になるかなぁって」
「…………そういう雰囲気って?」
「え? その…………キ、キスなんだけど」
きゃっ! 言っちゃった、恥ずかしい!! 熱くなった頬を両手で包み込むわたしを、統瑠くんは呆れきった表情で見つめている。
「キスなんかでそんな調子じゃ、その先はどうすんの? 竹原、緊張し過ぎて死んじゃうんじゃない?」
「……その先って?」
「そりゃセックスでしょ」
「セッ……!!」
セックスって、あの親密な男女がお互いに裸になって触れ合うっていうアレよね……。そ、そうか、付き合うってそういうこともあるんだった。
「ご、合法的に先生の裸を見られるのは嬉しいけど……、」
「合法的にって何だよ」
「それは確かに死にはしないけど、緊張のあまり……」
「緊張のあまり?」
「……今食事中だけど言っていい?」
「……まぁ、いいけど」
もし、先生とセックスをしたらきっとわたしは……。
「ゲロを吐くと思うの」
「俺今食べてるのカレーなんだけど? マジふざけんな」
ひぃん! 怒られた!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます