PART3 その5


 これは私の夢なのだからという思いを忘れなければ、今の私は母が何を聞いたのか分かるのだ

「あなたはこの絵をどう見るんですか?オルガさん」

 天使は意気揚々とそう、それこそが!と言わんばかりの勢いで腕を広げる 「エトルタの絵画をご覧になったでしょう!戦勝記念のようなあの絵こそ、彼女の残酷加減のシンボリックなものなのです。奇麗な筆遣いに騙されてはいけません、エトルタとは使い分けてより光輝いていますが、それはあなたに見て貰うために騙しに来たもの」

 私の夢は美しいあの絵がだます意図がないと知っていた「あなたはいいましたよね?この絵画は、70年の今日、私が見たままの頃の姿のものだと 絵画を見る順番が違えば、画家の印象はまるで違うものになると… 私はエトルタの絵画を見たのは78年の今日でした。ですから、45年以降頃描かれたエトルタの絵画について今当時見るよりも落ち着いて見れたはずです。彼女は大量虐殺者ではない、私は今そう確信しています。」

 私の危険な発言、世界を変えてしまいかねない冷たい発言に天使は驚いていた。

 私は続けた、確信があったからだ。

「それに習作だと言われましたが、この完成した出来で習作というのは、つまりあなたが何か意図があったこと、例えばこの壁を削って見ましょうか?あなたが使ったナイフを使ってみましょうか?」私は恐れるものがないから、その壁画の一つ傷をつけてみる。

 すると、何層にも重なった絵具が正体を現した。何層にも重なった絵具は見せるためであったが、覆いかぶさっていた 「やはり随分よくできた夢だが、だがまああなたが言うにはこれが真実なのでしょう?なら、つまりこういうことです、あなたのいう習作とは何度もこの壁で練習していたからです。多分ですが、この壁画のサイズで挑戦していたのでしょう。」

「そう、私に見せるためではなかった、彼女は絵が下手だからずっとこの壁で練習していたのです。彼女は人の真似でしかないエトルタでの出来に納得しなかった、だからニイハウ島の持ち主である母と仲良くなりこの教会を借りてずっと人知れず練習していたのです、だから私が来ることなんて一つも想定なんて出来ていなかったんです。」

 そう、今なら嘘でもそう結論付けられる、母が何を見せたかったのか。

「私の部屋には漫画本がなかった、それは母が漫画本を趣味にして集めているから!私と母の本が混じることの無いように漫画本は一か所で読むことに決められていたのです、だから母は言われた、あぁそう思えば70年に71年から活動されているGAROの水色の世界をジュークボックスで聴いてるのはおかしな話、だから私の中で混じって忘れていたのです、ここで起きることが真実だと言われたなら もう一つの真実が混ざっていたのです そう、私は月間漫画ガロを読んだか?と聞かれた。それだけの話なんですよ」

 少し間違った結論かもしれない、だけど私はそういう間違った世界でもそこに生きたいと思った。

「それだけでいいじゃないですか 天使さん。」

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