PART3 その3
1978年の10月4日、私はスイス人の特派員とドイツ語を喋る運転手と共に嵐に襲われてエトルタの教会へと逃げ込んだ、その時見つけた一枚の絵画とつながるのは1970年の4月27日の今日のコト。8年前の今日、そもそも夢の世界にはいてはいけないはずの人物がなぜここにいるのだろうか?
「キミは天使を見たことがあるか?」それはこの世界でよくあるアレゴリーだった。
それはこう続く、『あるとしたら君は相当強いか弱い人間だ、これが誰にでも当てはまると思ったら違うよ。普通の人は天使を見たとしても、こういうんだ。忘れてしまった!とね』」男は邪悪なほほえみを持って、隅に横たわる私を見て近づいてくる
「なぜ、人々は天使を忘れてしまうのか…それは夢の中で現れる天使を見てしまったからというオチも君は知ってるかな?」セカイの崩れる音がした、ここが夢のセカイであることを知らなければ致命的な真実。
私はこの男の噂を知っている。未来人、または夢のセカイの住人、もしくは十月党のフィクサー、その生まれは闇の奥、天門領域の門番とも好き勝手噂され、正体の噂は尽きることはない… 更に彼はドイツ崩壊の原因であるクラブ27の一員であり、無茶苦茶なのがクラブ27を裏切りドイツ海軍をアフリカに亡命させることに成功させもう30年以上にわたる継続戦争を続ける原因となりその他多くの尾ひれがつく凶悪人物、第十四番目の天使ドクトル・オルガ
その姿は不詳だとされていたはずだが、人の形を真似て私の目の前に現れるとは
「本物のレグザ神父は寝ているよソーニャ女史。君もいつの間にかずいぶん大きくなってしまったねえ」「なぜあなたがここに!」
「なに、これからの話を足萎えと盲目の門番の代わりに俺が君と一緒にみるためさ、覚えてないんだろう?これから先を」 近づいて来た神父の形をした天使オルガは手を貸そうか?と差し伸べると、私は手を払って壁を背にして、イスをつかんでゆっくりと立ち上がった。
それを見て笑うオルガは、ナイフを手にして私に突き刺した。
本当に夢の中なのだろうか、痛みは純粋に私をよじらせたが、オルガは私を持ち上げ、丸太のように固まった私を軽々と持ち上げて冷たく言い放った
「ここから先も一本道で私の言うことを聞いてほしいのでね、すべてを判断するのはその後からでもいいだろう?」
「そうか!そもそもこの夢自体お前が見せたものか、道理で記憶になくとも鮮明に話が進むと思った。」私は負けたくないからそう強がりを言ったが、どうやらそういう直観が当たっていたらしく、オルガはつまらないようで 「ものごとに一呼吸を置くことを君は覚えた方がいいかもしれないな」そのままピアノの前まで私を担いでいった。
またうるさくすれば身を硬直されかねない サイアク夢の中で殺されたらいいオチもつかないと考え 彼に主導権がある状態なら今は待つしかないとピアノの椅子に大人しく座らされていた。
オルガは少し考えた後、二つの手でL字ポーズをつくり、写真を撮るポーズをして私に聞いた 「ソーニャ女史、母の言葉を今まで覚えていましたか?そう、『あなたは見ましたか?』と言った母の言葉、狂い死んだ母があなたのために残した言葉を。もしかしたらあなたはこの夢が嘘であると勘違いされてるかもしれないのでね。この世界で起きたことは全て真実ですよ。」
「夢を全部真実だと思ったことはないわ、まさか昨夜読んだ詩人が枕元に現れてそれが真実なわけではないでしょう?」
「それを含めて真実であり君の引用だと言いたいが ふむ、まあいい。大事なのは母が死んだこと、君が一度死んでいること、第二十七番目の天使について思い出さなければならないことの三つを知っていることだ。」私が死んだ?左手の重みが死による痛みだと言いたいのだろうか?
「いや、その思い込みの通り、段取りいらずで助かるよそうか 君は思い出せないのか、君は母の死に耐えきれず または祖母の憎しみにぶつかり、イオラニ島から飛び降りた。ここまでの真実を。」
逆転の一手と思い、何も頼れるものがない悪夢に私は、なにも分からない。とだけそう呟いた 「たとえ8年前、飛び降りなくとも夢をこうして見れたのに私が現れたのは、ソーニャ、君の罪悪感がゆえのもの、夢に触れられないのに過去は断ち切れない苦しみに君一人で立てるものではなかったのだ。君の母から生まれた苦しみは君の原点なんだ、そこから逃れることはできない だから、絵画を見るべきなんだ1945年に描かれた絵画があるならば、1970年に描かれた絵画もある。それが見る時期が変わるだけで、作者の精神の変容などまるで違うように伝わってしまうイオラニの描いた未完の習作に君は向き合い、決別するのだ。」
私は神父の裾を掴んでいた、言葉の洪水はまるで意味が分からず、もし本当に彼が神父であったなら、信仰が違っても助けてもらえただろう、だが彼は悪意ある天使だ。
「無駄なことを、すべて思い出すのは辛いのでしょう だから受け入れればいいのです。」
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