PART2 その2
母は一体何者だっただろうか?永遠来オイナとは母の名前で、二ホン人の姓名の構成をしている(ハンガリー人も同様らしいが)から二ホン人らしく思うが。
そもそも二ホン人が各地に点在していて、たどった歴史も違うのに、どうやら科学的検証や彼らの思い込みからも東方からやってきたのは確からしい。
母の祖先はモンゴル高原へとやってきて、30代前にモンゴル皇帝の血統がその血に入り、それ以来本流は多くの場所へと行き血の結びを行った。高麗の氏族から、ポルトガル人の専制啓蒙的宰相、インドネシアの部族とも交流し、やがてロマンシュ人の女性登山家にして美術収集家であった祖母が本家と結婚して母を産み、そしてロシア人であることすらあやしい売れない映画監督の父と彼女の間で少しばかりのロマンスが起き、そこから十年経って私が生まれた。
私たちはずっと東にあるとされる二ホンに憧れていた。自分たちはかつて蓬莱と呼ばれる場所からやってきたという話を信じて多くの文献検証や世界中を旅してまわった。
そこで天使がやってきてすぐ、東海にある九州と四国、そして空に浮かぶ多くの島々があると知った。二ホン人はこの時見上げて、1000をゆうに越える海を暗く染め上げている空の島々が自分たちの伝説の根拠となる蓬莱山だと知るとそれを否定し始めたりする人も出たが、1846年には移民が進み、航空技術の発展、および宇宙開拓技術の応用、銀河鉄道の開通により、1912年いくつもの未開拓の島を残しながらも、一旦の開発計画が終了したとして国号を定めて「日本」とした。
ダリエンのように最初は多く死にながらも、3000万人いた100年前から今では1億人以上がこの国に住んでいる。
それで「日本」誕生は実現したが、多くはその島の先住民の存在を押し黙る...母はそうした人を含めて日本人にしたいという夢想家であった。
二ホンという架空の国をでっちあげて希望を持たせ、極東アジアの群島にその国を作り上げた首謀者たちこそ私たちの家系から母までがしでかしたことであった。
だから、世界中の人が次の未来について話し合いたいとやってきたのはつい先週、まさか母が倒れるだなんて思わなかったから人びとはヨーロッパ式のシンメトリーで埋め尽くされた舞踏会を開いた、そこでまさか天使が正体を隠して潜り込んでいたのを知っているのは今でも私だけなのだろうか
私はこの部屋には漫画一つないからつまらないから、よく母親の部屋に遊びに行くのだが、今日は人通りが多く、なんだかつまらない 本で埋まった本棚とはなんともいいがい荘厳さがあり、こいつが自分の座る椅子の横にあり、腕を組みなにかかんがえてるふりをしてるだけで偉い人な気がしてくるのはなぜだろうか?
そんな子供の空想はおいといて 私は偉い人のつもりで立ち上がりおめかしを終えタキシードを着こなし、麗人の王子様として歩き、ホールへ向かっていた。
私は自分の部屋から出て舞踏会には出ようと思ったのは ジュークボックスが流すGAROの水色の世界に飽き飽きし、一年に及ぶ召使いのおべっかやうわべの大人言葉にも飽き飽きしたからである。
私はこの一年、日本家屋ではなく、イオラニ島の別荘へと越してここに閉じ込められている。
母の様態が怪しく、長く旅には出られないから最後ぐらいはと言う母の要望であった。
しかし子供にそんな大人の機微やいなくなることがどうなるかなんてわからなかったから、わたしは一年で世界がどれだけ変わったかを心配していた。
ニュースやラジオは欠かさずに見ては聞かなければいけないし、ハワイに放送される特撮やドラマなんて見ないと帰ってきた時に友だちから遅れてしまうとさえ呑気に思っていた。
だからこの空に浮かぶ城よりも有意義なものが外にはないといけなかったからそれを知るために駆けだして行った。
だから見知らぬ女性の声に呼び止められた時、少しワクワクしていたのだ。
「お嬢様、舞踏会はまだでございますよ?」 振り向くと声の主は仮面をしていてたので私は呆気に取られて、転んでしまっていた。
私は昔から注意不足な子で、よく転んでしまうからそれが家族や召使い以外に見られたことが悔しくすぐ立ち上がれなかった。
「大丈夫ですか?」 その声の持ち主は白い手袋を外し、華奢な白い肌を目の前に差し出した。
目の前に憧れた騎士の人の手を取り、その日からはこの人を私の親友として忘れないようにしようとさえ思った。
「舞踏会に行かなきゃいけないよ、もちろん踊るつもりなんてさらさらないわ」「踊りたい相手はいないのですか?お嬢様でしたら踊りたい方はいくらでもいるでしょう?それとも政治話の方がお好きで?火遊びはいけないよ」
少し顔が赤くなってその女性の顔を見る、しかしおかしい 仮面をしているせいか声では女性のように思えるのに 日本の青年たちが渋谷にてそういう顔をしているからか 仮面は伽藍洞なおとこものだからだろう この人はどういう人なのかが分からなくなったのだ。
この女性はその長い体躯を生かして私へ改めてお辞儀をする。思えば人を喜ばせることの楽しさというのは、この伽藍洞な仮面の女性から覚えたことだった。
「お嬢様、踊りの誘いの前に残念なお知らせをお伝えしなければいけません、しかし天空の城の怪人物はこの残念なお知らせがあなたの興味を惹かれる話だと言わせてもらいましょう。」
その時の私は、その内容についてよりも 少し間をおいて頷き、申せ。とごっこ遊びに昂じていたのだから仕方がない。
「サラザールに会いたいと先日手紙であなたは言っていましたが、約束は守れそうにございません。サラザールはあと三か月で天へ昇るからです。
もちろん、お嬢様のお心次第で、リスボンに行けばまだ会えますので」
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