エスパーオヤジのひそかな趣味

決行の日。

イチローは十時ごろから瞬間移動開始。

「きゃあ、写ってる」

「どれどれ、あ、ホントだ」

「今日はいるんだよ」

女子高生たちは大きな声で大騒ぎ。

それを聞いて

どんどん集まってくる女子高生。

張り込みしているマスコミも

「どこだどこだ」

「ぬいぐるみおじさんを探せ」

「スクープだ」

「捕まえて独占インタビューだ」

と右往左往。

今日はぬいぐるみおじさんがいる

ということがSNSを駆け巡り

女子高生たちが大勢集まって来た。

竹下通りは女子高生がうようよ。

サービス精神旺盛なイチローは

一生懸命、瞬間移動を繰り返し

ぬいぐるみをプレゼント。

ただ、

昼頃になって疲れてきたイチローは

瞬間移動に失敗。

女子高生の後ろに残ってしまったのだ。

気が付いた女子高生たちは

「ぎゃあ～～～！」

だけど、

すぐにぬいぐるみおじさんと気が付き

「ぬいぐるみおじさんだ」

「きゃあ、ぬいぐるみちょうだい」

大騒ぎ。

噂を聞いて

マスコミ各社が張り込んでいたから

「ようやく正体を現しました」

「ぬいぐるみおじさん見つけました」

と生放送。

イチローは瞬間移動しようとするが

焦っていて精神集中できない。

仕方ないから逃げだした。

逃げれば追いかけたくなるのは人の常。

大勢の女子高生とマスコミが追いかける。

イチローは竹下通りを一目散に逃げる。

原宿駅に向かって駆ける、駆ける。

マスコミと大勢の女子高生が追いかけて

走る、走る、走る。

大群衆が

「きゃあ～」

「待ってえ～」

と黄色い声で、大声で叫びながら

竹下通りを走り抜ける。

マスコミが生中継でそれを追いかける。

「なになに、なんでみんな走ってるの？」

「とりあえず、みんな走ってるから一緒に走ろうか」

なぜ追いかけるのか分からない人もつられて走る。

渋谷のハチ公前や

新宿アルタの

大スクリーンに映し出される。

途中、下水道工事のため

マンホールが開いていた。

イチローは

「ヤッタネ！」

と飛び込む。

マンホールから落ちてやれやれこれで一安心。　　　

（注）

オチを思いつかないので

「マンホールからオチた」

ということで勘弁してください。