第3話 護、女子部員60名の前で剃りびとになる


 「じゃあ、いい?行くわよ。音楽おとはあるの?先生の方もいい?快感は御法度よ」


 監督が護に確認を取ると、みどりと主戦選手も勢いよくローブを脱ぎ捨てた。


 [第2話から続く]




 みどりの陰毛は元々美しい縦長で、護も少し手を加えていたのでさっぱりしていたが、主戦選手は監督と同じように逆三角形で、しかもユニフォームの脇からはみ出す毛を嫌って処理をしている程度だったので、人跡未踏のジャングルを思わせる密林状態だった。


 3人は控え室にマネージャー1人を残して、宴会場へと続くドアへ監督を先頭に1列になって、まるで〈世界選手権〉決勝に臨む選手のように、背筋と手足をピンと伸ばして行進した。


 みどりと主戦選手は競技会の時と同じで素足だったが、監督だけはサッカーの監督が試合会場でも背広を着ているように、赤いピンヒールを履いたままだった。


 司会の美希がそのあとに続き、護は美希のあとを、のこのこといった感じでついて行く。


 みどりが用意していた新体操のBGMが流れ、音楽と共に行進して、競技会のように舞台の袖から全裸の監督が出て行くと、会場から一斉に驚きの声があがった。


 「見て、監督だわ」


 「監督じゃん」


 「もう裸になってるじゃん」


 「やっぱり監督ね、度胸もいいよね」


 などとざわざわする。


 監督たち3人は舞台の中央に立つと、揃って両脚を交差させ、腕は肘を軽く曲げ、指先は腿の前へ置くポーズを決めて、スタンバイした。


 司会の美希は心得たもので自分の場所を確保していたが、護は後方でまごまごしている。


 「それでは時間になりましたので、只今からK大学女子新体操部の〈敗戦剃毛儀式〉を執り行います」


 美希が護には目もくれずに、本当のアナウンサーのような感じで、第一声を発した。


 「まず、キャプテンの挨拶があります」

 

 事前の打ち合わせ通り美希がみどりを指名したが、いきなり監督が手を挙げてポーズを解いて、美希の方へ歩み寄り、その手からマイクを奪い取った。


 そしてエー、エー、テスト、テスト、とマイクの調子を確かめてから、全裸にピンヒールだけという姿にもかかわらず、私は今日の今日まで、と喋り始めた。


 「このような儀式が行われることを知りませんでした。初め、聞いた時には監督の私に無断で何と勝手なことを、と怒りを覚えましたが、今回の敗戦に部員一同が三省さんせいの念を抱いていることを知り、逆に嬉しく思いました。同時にこれは選手たちだけを生け贄にしてはいけないとの思いから、わたくしも罰を受ける為に急遽参戦した次第であります。


 郭隗かくかいの故事にもありますように、隗より始めよ、事を始めるにはまず自分自身から着手せよ、との気持ちから部員の先頭に立ち、先日の敗戦の悔しさを未来永劫忘れない為に、敢えて皆様の面前で、男子によって陰毛を剃られるという屈辱を受けに参ったのであります。


 本日は〈新体操部員〉のみならず、本校各運動部及び各サークルで活動しておられる方々も集まっておられるようですが、皆様も他人事とは思わず、私たちが代表で受けた屈辱は自らの屈辱として胸に刻み、日々練習と精進を重ね、研鑽を積み、常に万全の態勢で事に臨んでくださることを切に願っております」


 監督が挨拶がわりの演説を打つと、会場から万雷の拍手がした。


 「ありがとうございました。監督の力強いお言葉に続きまして・・・」


 美希はそこで言いよどみ、監督の方を眺めて続けた。


 トップバッターはみどりだったが、ここは先輩であり監督の顔を立てなければ、後でどんな意地悪をされるかわからない。


 「監督の心強いお言葉に続きまして、本日のヘアスタイリストさんを紹介いたします」


 美希が手招いたので、後ろの方でまごまごしていた護は、晴れて舞台の中央に立った。


 「能瀬護先生です。とても運の強い指先、先生の指に触れたものはブリキの板が黄金に変わるという、伝説のゴールドフィンガーの持ち主の方です。先生の指で陰毛のカットをしてもらった大阪の某主婦は、その帰りに買った宝くじが3億を引き当てました。


 またいろいろな業界の営業の方々は、先生に陰毛をカットしてもらうと同時に営業成績でトップクラスに順位を上げております。


 近年低迷を続ける本校〈女子新体操部〉もその御利益にあやかりたく、本日はご出張いただきました。それでは早速お願い致します」


 営業の方々、と美希はボカして言い、キャバクラ嬢やソープ嬢の指名数が営業成績と言えば言えなくもないので、全くの嘘ではなかったが、護は気恥ずかしさをおぼえていた。


 「カッコいいじゃん」


 「イケメンね」


 などの声がぼそぼそとステージにまで届いてくる。


 監督はすでに前のポーズに戻っていて、自分が一番槍だと宣言するように、皆より3歩ほど前に出て待っている。


 みどりも主戦選手もまだ若く、カラダ的には少女に近い青リンゴと言ってもいい体つきだったが、やはり監督は卒業して何年か経って男の養分が行き届いているようで、熟し桃のように角が取れて、女らしい丸みと甘味が体全体から滲み出ている。


 それに真っ白な華奢な裸体に赤のピンヒールという1点の色彩が、監督が禁じたエロス感を醸し出している。


 護も剃る順番を空気で感じ取り、司会の美希に教えられた通り、客席から自分の頭と体が邪魔にならないような位置を取って、監督のそばで跪いた。


 そしてワゴンの上の充電式超小型ヘアドライヤーを手に取り、スイッチを入れた。


 モーターの回るブーンというかすかな音が競技を開始するホイッスルのように聞こえ、その場が水を打ったように静まりかえった。


 護はどの客にもそうするように、ヘアドライヤーの風を監督の細い逆三角形の陰毛に当てて、左手の指先で毛をほぐすように撫でる。


 体操でもフィギュアスケートでもそうだが、演技はまず軽い身のこなしから始まるのが常だが、護の意表を突いたいきなりの陰唇部いんしんぶ近くの攻撃に、監督の脚の筋肉がピクリと動いた。


 それから護がドライヤーの風を脚の付け根に移すと、今度は護の仕事の仕方を読んだように監督は僅かに左足の踵を上げ、それから少しずつ左足をそのまま上にもち上げ始めた。


 そしてアイ字バランスはもうとても無理だったので、Y字バランスを決めた。


 昔取ったキネヅカというべきか、右脚のピンヒール1本で立つ姿はまるで現役選手のような、美しいY字バランスだった。


 そのせいで陰唇部は完全に露出して、監督は会場の皆に見せたくなったのか、今まで正面を向いていた体を右脚1本で横向きに変え、陰唇はなびらが皆の目にとまるようにした。


 陰唇はなびらはまだ子供を産んでいないせいか、或いは男の侵入数が少ないせいもあるのか閉じていたが、陰唇の周囲にむしってしまいたいようなむだ毛がパラパラと生え、アヌスにまで続いている。


 護は橘みどりの時と同じように、すまし顔の可愛い女子に対してちょっとイジワルな気持ちになって、シェービングクリームのノズルの先端を監督の陰唇はなびらに向けて、直接泡を吹きかけた。


 泡が直接花びら部分に当たってくすぐったいのか、


 ウっ


 と、監督が呻いた。


 その泡がじわりじわりと広がって、まるでその部分を指で撫でられるような、或いはゆっくり溶けているのでそれが舌で舐められたような感覚によく似ていたのか、監督が快感はNGよ、と改めて他2人の戦犯に念押しするように、顔をしかめて見せた。


 それを見て護はますますイジワルをしたくなって、ブツブツと音をたてて泡立つ粒子を指先ですくって、刺激するように花びらに塗り込んでゆく。


 と、監督はいよいよ自らが定めた快感禁止令も限界に近づいてきたのか、或いはまた脚を上げ続けているY字バランスの体勢がきつくなってきたのか、脚を下ろし始めた。


 そして正面を向いて、小学生が朝礼で気をつけするように手の指先を体の側面で伸ばしてから、今度は脚を開いて腰を突き出し、体操競技のブリッジをすべく後ろに反り返って床に手をつき、完璧なブリッジを作った。


 護はひしひしと感じる百数十名ものうら若き女子学生の視線を右頬に浴びながら、ブリッジを作っている監督の陰唇はなびらの上に生えた毛に、指で泡を浸透させる。


 それから右手にT字型の安全カミソリを持ち、やおら監督の下腹部の細い逆三角形の底辺部分から剃り始めた。


 たった2回、安全カミソリを往復させたただけで、監督の恥骨部分は裸地になった。


 会場はシーンとして、全員の目が監督の花びらに当てられた護の、黄金と紹介された指先に集まっている。


 監督は見事なブリッジで性器を部員たちに晒しているが、脚の付け根が震えていて、ツーと陰唇はなびらの割れ目から蜜が垂れるように、透明の液体が滲んで溢れた。


 監督は快楽の大波がすぐそこまできているのに、〈敗戦儀式〉だからこそそれを享受することは死んでも許されないという呪文にとらわれているのか、口を真一文字に締めて、護の指攻撃とも言えるアタックを受けていた。


 一方の護は、またちょっと可愛い女子を性的にいじめてみたいというサディスティックな気持ちになっていて、監督の閉じた花びらのような小陰唇に少しだけ人差し指の先を入れ、花びら自体を引っ張って浮かした。


 浮かしながら親指の腹で花びらを撫でる。


 ハァ~


 と空気の抜けるような監督の声というのか、息がした。


 もうダメ、

 許して、

 好きにして、


 という監督の体と心の叫びを、護は彼女の体の震えと空気の抜けるような喘ぎの中に聞いたような気がした。


 いっそ直接指をバギナの奥深く突っ込んで、グジャグジャに掻き回して欲しいのよ、と監督が涙目で懇願しているようにも、護には見えていた。


 護も監督の気持ちはよくわかっていたので、またシェービングクリームの泡を監督の陰唇はなびらめがけて直接吹きかけた。


 泡が勢いよく花びらに当たる。


 護は指先で撫でるように泡を塗り込む。

 その間にも花びらに少しだけ差し込んだ左人差し指を、微妙なタッチで振動させる。


 これ以上本当にダメ、

 死んじゃう、


 と言うような半泣きの目で監督が護に訴えていた。


 ここまでされたからにはエクスタシーを求めて何が悪い、という開き直りで踏み込むアクセルと、一方では大学の女子を集めた〈懲罰儀式〉であるからには、死んでも快楽なぞ得てはならないという理性のブレーキも心の底には少し残っていて、まるでF1ドライバーのように右足でアクセルを吹かしながら同時に左足でブレーキも踏むという、もう監督自身でさえどんな運転をしているのか分からない、或いはもうどうにでもなってしまえ、という心境だったに違いない。


 キャプテンのみどりはその時さすが監督だ、と皆の視線をオマンコに浴びても動じずにブリッジを続ける監督の、上下逆さまになった顔を上から眺めて、感動していた。


 しかもピンヒールで。


 私ならこれだけの攻撃をオマンコに受ければ、ひとたまりもなくブリッジは無残に崩壊し、舞台の上に海馬トドのように転がっているに違いない。


 私には根性が足らない、


 と、みどりはみどりで監督が必死になって歯を食いしばって耐えているのを見て、勘違い感動していた。


 それから護は監督のブリッジをとき、今度はお尻を部員たちに向けた四つん這いポーズを取らせた。


 みどりの時と同じように、膝と腕を一杯に伸ばした、猫が総毛立つような恰好を作らせたのである。


 監督の白いお尻のアヌスが丸見えだった。


 陰唇からポツ、ポツと生えたむだ毛がアヌス付近にも見られる。


 護はダメを押すようにアヌスに直接シェービングクリームの泡を吹き付け、ゆるくなったそこに指先をちょっと突っ込んだ。


 ウッ

 と呻いて監督が体をよじる。


 それから花びらをまさぐってその奥深く中指を差し込み、差し込んだ指先を動かしながらムダ毛を剃るためにT字型安全カミソリの刃を走らせる。


 と、また監督がお尻をよじる。


 そうやって監督と、

 次にみどりと、

 それから主戦選手の陰毛とアヌス周りの毛を剃り上げて、


 K大学女子新体操部の〈敗戦剃毛儀式〉は無事終わった。


 [剃りびと パート4 了 パート5へ続く]

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剃りびと 蘭&護(4)護の1日  護&K大学女子新体操部監督 香坂薫 押戸谷 瑠溥 @kitajune

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