第10話

「ねねっ!さっきなんで2次元で3次元を制圧できたの?!なんで雷で爆発が起きたの?!」

そんな会話を聞いたのは実技魔法1クラス担当のローリエ・エバンドだ。

確かにそれは私も気になっている。

「氷が電気で分解された後に出てくる空気に電気を流すと爆発するんだよ」

私はそんな事は初めて聞いた。この第三部隊副隊長の私でさえだ。実験してみると確かに爆発した。しかしコップ1杯だけでも1次元魔法を10発は打てるほど魔力を消費した。あの年で氷瀑を使える首席も凄まじいが氷瀑を分解しきれる魔力量は半端ない。今年は面白い生徒が入ってきたものだな。ん?なんで副隊長が学校にいるかって?有望な生徒を勧誘するためさ。


僕は戦慄している。かの銀髪姫もといアーシュ が氷瀑をアシストなしにあのスピードで打てる事に。うっかり3次元魔法 魔法分解を使うところだった。



私は安心している。ミストの魔法は最初に見たすごい光の線しか知らないから。私の成績はどれもいい。才能があるのを自覚している。今度こそミストに勝てると思った。兄様から教えてもらった氷瀑を使えば勝てると思った。でもたかだか雷で封じられてしまった。まだ頂は遠い。絶対いつか追いついてみせる!


「やあミスト、銀髪姫に勝ったんだって?」

「何それ知らない?!」

「そうだね。でも強かったよ。いきなり氷瀑を打ってきてびっくりしたね」

「ぼ、僕ミストの評価を改めることにするよ…」

「わ、私も…」

「何引いてんの?」

「だ、だって1年生で氷瀑を打ってくる人に勝ったんだよ?」

「今度僕に魔法教えてくれない?」

「別にいいけど」

「私も!」

「ついでに数学も!」

「あと髪のケアと肌のお手入れも!」

「最後のクローザのは関係ないでしょ」

「そんな可愛い顔をどんなふうに維持してるか気になるじゃない!?」

「確かに僕も最初女子だと思った。なんで髪伸ばしてるの?」

「伸ばしてってうるさい人がいるんでね」

「女?!女なの?!」

「どうかな?」

「おしえなさいよ」

「どうでもいい事は置いといていつやる?」

「実践のがいいから今週末にでも冒険者登録をして何か依頼でも受けよう!お金も貰えるしね!」

「わかったわ」

「わかったよ」


「じゃあまずは登録しようか」

「なら終わったらそこで集合ね」

「りよ」

「わかったよ」


「登録お願いします」

「かしこまりました。名前職業をお願いします」

「ミスト・ケミストラーさんで魔法使いですねでは等級審査があるので闘技場へ行ってください」

「はーい」




「でははじ「ちょっと待った」」


「ギルマス!」

あっグラセルさんだ。ギルマスになったのかぁ

「その小僧の審査俺にやらせてくれないか?」

「いいですけど…お仕事大丈夫ですか?」

「こっちのが大切だ」



「よう2年ぶりか?どこにいたんだ?」

「ナンノコトカワカリマセンネ」

「二重登録は規約違反だが?」

「少なくとも2年もいなかったら除名になってるはずですが?」

「そうかよ!氷の剣は得意か?」

「大得意ですね。3次元魔法 氷剣零」

これは氷剣シリーズの最高峰。絶対零度にすることで動かなくなった氷は圧倒的にな行動を誇り、運動エネルギーを熱エネルギーに変換し衝撃を和らげ一方的にダメージを与える優れものだ。

「強くなったなぁ!身体強化!」

「えっ?何それ知らない」

「魔法使いには近距離線なんだよお?」

「じゃあ 律 氷剣零 20 物量戦でどうですかね?」



「僕の勝ちですね」

「そうだな…強くなりすぎだろ。一体何個術式展開したんだ?」

「企業秘密です☆」

「じゃあ3級な」

「え?やめてください友達と来てるんです。8級くらいでいいです。」

「8級でもその年齢なら上々だけどな…」

「僕は学校で強くのでいいのです」

「わかった8級にしてやろう。そして除名制度がなくなったんだからミルトとかいう4級も復帰させるか」

「きっとミルトさんも喜んでますよ」

「違約金を払ってもらうからな」

「いくらです?」

「20万だ」

「じゃあドラゴンゾンビの報酬から引いといてください200万くらいあって未払いでしょう?」

「そうだったな未払いというかおまえが来なかったんだけどな」

「そうですね」




「2人ともどうだった?」

「僕は8級」

「私は9級」

「ミストは?」

「僕は8級だったよ」

「じゃあ何受ける?」

「オークとかどうかな?20万だって」

「やめといた方がいい。」

「どなたですか?」

「ああ悪い。嫌がらせをしたいわけではないんだ。オークは難易度こそ低いが耐久力が高く大変だから最初は小さい魔獣あたりがいいと思うよ。」

「大丈夫だ。」

「ギルマス!」

「そいつらは8級の魔法剣士のウォルトと9級の風魔導士のクローザと"水の魔法使い"のミストだ」

「魔法使い…」

ミルトか!でもミストって?

「そういうことだ」

「すまないね余計なお世話だったようだね」

「いえいえ親切にありがとうございます」

「じゃあまたね」


「僕らはパーティ登録しようか」

「こっちで通しといてやる紙に書いて持ってこい」

「何にする?」

「じゃあ3人だから三原色でどうかな?」

「いいね」

「それにしよう!」


魔法使い そんな職業を名乗るのは2人しかいない氷剣のミルトと今日入ったミストだ。最初は魔法使い?なんだそれと思った。しかしその名の通り魔力の法則に干渉するかの如く水を鉄より硬くしドラゴンゾンビを一撃で粉砕するというとんでもないやつだった。しかしそれっきりミルトは姿を消した。比較的平和なこの時代、戦力の低下は火を見るより明らかだった。でも戻ってきた。しかもケミストラー家ときた。楽しくなりそうだ。

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