第9話
卒業式も終えてもう休みの後半になった今日は第七部隊の就任式だ。なんでこんなにも式が重なるのか…正直めんどくさい。僕の今回の役目は適当な挨拶をして突っ立てるだけだ。
「えー皆さん新しく設立された第七部隊副隊長に就任したミスト・ケミストラーだ。これからこの軍をしっかり強くして王国の刃とするので頑張ってください」
私の名はシュトール上級学校を自席で卒業した平民だ。何故平民なのに貴族用の学校に入ったかと言うと子供の頃の武道大会で貴族に気に入られて支援してもらったのだ。大人になってお金を返せば自由になり返せなくてもその貴族の娘と結婚するだけだ。相手も悪くないしなんなら仲もいい。いや私の話は置いておこう。私が今言いたいのは何故あんな子供が副隊長にいるのかだ。わけがわからん。貴族の道楽なら即刻辞退願いたい。別に貴族が嫌いなわけではない。でも道楽は許せない。我々は努力してきたのだ。それを踏いじるようなら許さない。しかし、国の部隊だ。ただの子供をそう安易と入れるとは思わない。だから何か理由があると思う。なので様子を見ようと思う。
今日は第七の初回訓練日だ。
「今日は体術組と魔法組に分けて行う。体術組は隊長が、魔法組は副隊長が行う」
「魔法組はまず汎用攻撃魔法と汎用防御魔法と飛行魔法の習得から始める。なのでまず理論の説明をするので資料を渡す。順番にとりにきてくれ」
僕が教えるのは3次元魔法の核砲撃、空間断絶、飛行だ。
「難易度は少し高いがゆっくり習得していこうか」
私シュトール、いや私たちは戦慄した。難易度がおかしいのだ。理論は単純明解だがかなり難易度が高い。ただでさえ3次元魔法で難しいので展開量がおかしいのだ。しかし見本の展開スピードは極速、出力調整は自由自在、私は副隊長の認識を改めなくてはならない。化け物だ。本当に我々がこれをあのスピードで打てるようになるのだろうか?
「今日は理論だけなのであとは適当に練習に励んでくれ。あと皆にはこの石を常に持っていてもらう。そして今後は入口全てにロックがかかるので頑張ってくれ。1月もすれば打てるようになるさ」
おかしい。一晩寝たのにかけらも魔力が回復しないむしろカラカラだ。それは皆も同じらしくロックの解除にかなり手間取った。しかも1人づつしか通れないのでタチが悪い。そしてロックごとに内容も違うので尚更タチが悪い。
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今日は上級学校の入学式だ。特に面白いものはない。強いて言えばクラス発表だ。だが僕は絶望している。誰ともおんなじクラスになれなかった。人数は3つの下級学校を混ぜているので単純計算3倍だ。だとしてもだ。1人くらい一緒でもいいじゃん…でもまぁ友達ができた。2人だが。クローザとウォルトだ。席が近くて一緒にご飯を食べたら仲良くなった。最初は話を全く聞かなかったので突っ込んだら会話ができるようになったのだ。クローザは黒髪にスレンダーな美少女って感じで、ウォルトはthe金髪イケメンだ。まぁずっと幼馴染と一緒というわけにもいかないのだろう。別に仲が悪くなったわけではないただそれぞれに新しい友達ができただけだ。
入学して1ヶ月のところで実技テストと筆記テストがあった。
「え?2人ともめっちゃ頭いいじゃん?」
2人揃って10位以内?!
「そんな事ないわよ」
「いや僕とつるんでるからてっきり阿保かと」
「あはは。ミストは僕らを馬鹿にしてるのかい?」
「スミマセン」
「でもミストは実技がすごいじゃないか白銀姫と同じなんて」
「白銀姫ってだれ?」
「知らないのかい?セルメア伯爵のアーシュ ・セルメアだよ」
よく知った人でした。え?なに?僕と同等の魔力制御と体術できんの?!天才じゃん。恐ろしい子!!
「へーそうなんだ」
てか白銀姫ってなんだよ確かに綺麗な銀髪ですけど。可愛いですけど。
「そう言えばあなたの耳飾りとセルメアの耳飾りって似てるのよね」
「そう?」
恥ずかしくてはぐらかしてしまった。少し優越感があるのは内緒で☆
「300位以下には補修があるらしいからミストは引っかからないようにね」
「…頑張るよ」
「教えてあげよっか?」
「まずかなった頼るよ…」
やばくなったら僕には律がいるしね…大変心苦しが使うしかないよね…ま、まあ一応自分でも頑張ってみるさ…テストなんて考えたくもない。しかもこれは中間の試験でこれからの授業のクラス編成に関わるらしい。僕は魔法系と数学は一番上だがそれ以外は下から4番目といった微妙な感じだ。
「やっぱ一番上は難しい?」
「そうね。細かい事をたくさんするって感じかしら?」
「まぁ所詮は暗記だけどね」
「賢いことで」
「あなた数学と魔法はピカイチなのね」
「どうして他ではできないのかい?」
「敵かな?敵だよね?興味ないのはわからんのじゃ」
「ミスト!!魔法系と数学は一緒だね」
「銀髪姫様?」
「それ恥ずかしいんだからやめてよね!」
「いいじゃん銀髪姫」
「よくないっ!」
ガラガラ
「授業を始める。2列で並べ。」
「順位順にペアを組んでそれぞれ手合わせしろ。順位で成績をつけるからな。4時間以上最下なら単位をやらんからな。では始めろ」
「私は強くなったんだからね!3次元魔法 氷瀑」
「初っ端からなんて物をだすんだ!?
2次元魔法 高圧電撃 そしてさらに〜高圧電撃!」
どかーん
「きゃっ」
氷を電気で分解してからまた電気で水にする。中学生の実験の大きいバージョンだ。
「ごめん大丈夫?怪我はない?」
「びしょびしょじゃない」
「お詫びに温めてあげよう。2次元魔法 温風」
「おい!今の爆発はなんだ?」
「やりすぎましたごめんなさい」
「誰かと思えば首席とやけに魔法特化のやつか」
「え?首席だったの?」
「へへ!すごいでしょ?」
「先生!なんの問題もありません!」
「ならいい。いちゃつくのもほどほどにな」
「断じてそんな事はしていません!」
「そ、そうです!」
「どっちがかったんだ?」
「ミストです!」
「ほう…」
先生の覚えが怪しくなってきた気がする。
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