第8話 終わりの受容
私の誕生日は6月。
見守りアンドロイドであるみっちゃんはあと2ヶ月足らずでスリープモードに入る。
高校3年生の1日はあっという間だった。
月日は流れ、6月。
懐かしい、みっちゃんの夢を見た。
宇宙のような空間で微笑みかけてくれるみっちゃん。
「愛羅、お誕生日おめでとう。もう何回伝えたかわかんないや笑 このうちの1回でも多く愛羅が覚えてくれているといいな。」
「みっちゃん!ありがとう会いたかった、いっぱい忘れててごめんね。スリープモードに入るだけだから、来世でまた会えるんだよね?」
「んーそのことなんだけど、私もアンドロイドとはいえ寿命があるんだよね。バッテリーの寿命というか」
「えっ…」
「でも大丈夫!見守りアンドロイドとしての寿命だから!来世ではきっと、新しいお友達として会いに行くよ!今までありがとう。げんきでね!」
星屑に溶け込むように消えていく。
「待ってみっちゃん!」
泣きそうな顔で駆け寄ろうとしてくれる愛羅を眺めながら自分の終わりを感じる。
ああそんなに悲しまないで。
違う立場で繰り返すための、また会うために必要なお別れなんだから。
でも大人になった愛羅のことは見たかったなぁ。
「今度は、私もそちら側に…」
その言葉を最後にみっちゃんは消えていった。
アラームの音で目を覚ます。
全部夢、それでもきっと、今のは現実なんだろう。
みっちゃんはもうどこにもいない。
堪らなく悲しい気持ちはあるが、また会える、何処かでそう確信めいていた。
「愛羅誕生日おめでとう〜!!」
「もう18歳かあ大人だね〜」
「2ヶ月ぐらいしか変わらないでしょ笑 てか机に教科書入らないんだけど!笑」
みっちゃん、今まで見守ってくれてありがとう。
もう大丈夫だよ。
また会える。今度は人とアンドロイドとしてじゃなく。
来世でも再来世でも待ってるよ。
数十年後、4月
「貴方も新入生?はじめまして!愛羅です!」
「はじめまして。みちるって言います。みっちゃんって呼んでね。」
「…みっちゃん!よろしくね。」
「風香〜愛羅入学式始まるよー。あれその子は?」
「みっちゃん!新しいお友達!」
「へー、なんか初めて会った気がしないね!4人で同じクラスなれたらいいな。」
今世で知り合ったみっちゃん、過去の私が知っているみっちゃん。
同一人物ではないのかもしれないけれど、きっと繋がっている。
だって約束したから。
「今度は、私もそちら側に…」
(1人の女の子として、同じ時を過ごせますように。)
懐かしさの在り処〜終わりの受容〜 @akikana
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