第5話 欠陥と記憶

あれからどれだけの時間が過ぎたのだろうか。

何代もの愛羅と時間を過ごし、コンセプト通り子供と、愛羅と一緒に言葉を覚え続けてきた。

いつの間にか、アンドロイドに不要な「感情」というものさえ。

子供と一緒に育つをコンセプトにしているということは、大人になると自分は不要になる。

ましてや感情という機械にあるまじきバグが気付かれたらその場で欠陥品扱い、破棄は免れないだろう。


今世の愛羅は今年で16歳。

関われるのは残り2年というところだろう。

ならばせめて、欠陥品であることを悟られることなく、残りの時間を友人という立場で見守らせてほしい。


「ねえ、2人ともみっちゃんって初めて会った感じしなくない!?なんかタイプは違うけど、前から仲良かったような感じするんだよね!」

みっちゃんと別れ、帰路につきながら音羽がそんなことを言う。

「あー、なんかわかるかも。同じ学校だったら同じグループにいたと思う」


2人もそんな感じなんだ。なら感じたこと言っても大丈夫かな。


「2人とも前世の記憶あるじゃんか、私もしかしてみっちゃんもそうなのかなって思っちゃった。なんか懐かしい気持ちになるというか…」

「…愛羅、私結構しっかり覚えてるけど、前世は私達3人グループだったよ?」

「…え」

「んー、私も細かくは思い出せないけど、絶対仲良かった!って言えるのは風香と愛羅の2人だけなんだよねえ」

「…そっか、なんか謎の親近感あったから勘違いしちゃった!ごめん変なこと言って。」

「二度あることは三度あるって言うしね!じゃあわたしと風香こっちだから!また学校で!」

「ばいばーい」

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