第九話 初めてのメッセージ

 星影さんと連絡先を交換した僕は、さっそく一通メッセージを送ってみることにした。


ーーーメッセージーーー

岡部: 岡部です。よろしく

舞桜: こちらこそよろしく~

    なんか面白いね

岡部: 何が?

舞桜: 直接喋れる距離にいるのに、メッセージで話すの

岡部: 確かに

ーーーメッセージここまでーーー


 メッセージは、相手の顔が見えない分、気楽に話せるという良さがある。ただ、その反面、ちょっとした言葉の違いで相手を傷つけたり、誤解から喧嘩やいじめに発展してしまう危険性もある。


ーーーメッセージーーー

岡部: いつもあの時間の電車に乗ってるの?

舞桜: 今日はちょっと遅めかな?

    いつもは7:45くらいに学校に着くように行ってるよ

岡部: そうなんだ

舞桜: そういう岡部くんは?

岡部: 僕は7:50くらいだから、一〜二本あとかな?

舞桜: そっか…

    もしよかったら、どっちかの電車に合わせない?

岡部: いいよ

    それか、今日と同じでも?

舞桜: うん!

ーーーメッセージここまでーーー


 画面から顔を上げると、星影さんが少し微笑みながらこちらを見ていた。


「ははは…」


 二人でそんなふうに笑い合っていると、ちょうど登校時間五分前のチャイムが鳴った。


「そろそろ行くか」


「そうだね」


 僕たちは立ち上がり、並んで図書室を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る