第八話 ふと思い出したこと
僕たちは学校に着くと、いつものように図書室へ向かった。
あの後、二人で話し合った結果、教室ではあまり関わらないようにしようということになった。僕としては正直少し寂しいが、「いろいろ誤解されると困るでしょ」と星影さんに言われ、朝と放課後だけ接することに同意した。
図書室でゆっくりしていると、ふと僕は何かを思い出した。
「あっ!」
「どうしたの?」
星影さんが顔を上げる。
「さっき放課後もって言ったけど……放課後はあんまり喋れないかも」
僕は、生徒会の活動で定期的に会議が入っていることを思い出したのだ。
「生徒会……やってるんだっけ?」
星影さんは、何かを思い出したように問いかけてきた。
「言ったことあったっけ?」
僕は不思議そうに首をかしげた。
すると星影さんは少し視線を逸らしながら答えた。
「前、昼休みに……教室で話してるのが聞こえたから」
「あぁ、そういうことね」
僕は納得した。
言った覚えはなかったが、それなら知っていても不思議じゃない。
そんなことを考えていると、星影さんが少しだけ間を置いてから、ぽつりと言った。
「じゃあ……連絡先、交換する?」
「えっ」
思わず間抜けな声が出てしまった。
「そしたら、学校の外でも喋れるでしょ……」
「……たしかに」
僕はスマホを取り出した。
星影さんは続けた。
「あと、どっちかが休んでも授業のこと聞けるし……」
そう言ったあと、小さな声でなにか呟いた。
「……休日とか、遊びに行ったりも……」
「なんか言った?」
声が小さすぎて全然聞こえなかった。
「ううん、なんでもない」
星影さんは慌てて首を振った。
「そっか」
僕は首をかしげる。
― 気のせいだったのかな……?
そう思っていると、星影さんが明るい声で言った。
「それより、早く交換しよ」
「そうだね」
僕はスマホの画面にQRコードを表示させ、星影さんに向けて差し出した。
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