第七話 少し進んだ関係性

 僕たちは改札を出て、学校へ向かう坂道を並んで歩いていた。


「ねぇ」

 星影さんがふと声をかけてきた。


「どうしたの?」

 僕が返すと、彼女は少し首をかしげながら言った。


「なんで最近、図書室来なかったの?」


 僕は少し恥ずかしくなって俯きながら答えた。


「……あの日言ったことが……」


「どのこと?」

 星影さんは小さく笑いながら聞き返してくる。


「その……図書室に行った理由が、さ……」

 顔が熱くなるのが自分でもわかった。


 すると星影さんは、からかうような、それでいてどこか照れたような表情で言った。


「……私、嬉しかったよ」


「えっ……?」

 思わず変な声が出てしまった。


「前も言ったけど、私って友達とかいないから……。話したいって言ってくれる人、珍しいんだよ?」


 その言葉を聞いて、僕は心の中で迷っていた。


― ここで友達になりたいって言ったら引かれるかな……。

― いや、でも……言ってみよう!


 意を決して、僕は声を出した。


「星影さん!」


「な、なに?」

 彼女は少し驚いたように振り向いた。


「もしよかったら……友だちになってみない?」


「えっ……?」

 星影さんは戸惑ったように目を瞬かせた。


― やっぱり、引かれた……?


 沈黙が少し流れ、僕が慌てて言いかけた。


「嫌だったら、ぜんぜ――」


「……いいの?」


 星影さんが小さな声で言った。


「うん」


 僕が頷くと、彼女は頬を赤く染めて、恥ずかしそうに言った。


「じゃ……じゃあ、よろしく」

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