第三話 登校後の教室で
教室に入った瞬間、周りから少しだけ冷たい視線を向けられた気がした。
――気のせい、か。
そう思って席につくと、友人が急ぎ足で近づいてきた。
「なぁお前、なんで星影さんと一緒に来てるの?」
「えっ?」
その言葉で、さっき感じた視線の理由に気づいた。
――前に見たとき、確かにいじめられてるような空気だったよな。ああ、そういうことか。
「なんでもないよ。たまたまタイミングが重なっただけ」
そう返すと、友人は眉を寄せた。
「そっか……でも、あんまり星影さんとは関わらないほうがいいぞ」
「なんで?」
僕が問い返すと、友人は声をひそめた。
「噂だけどさ、星影さんいじめられてるって話、聞いたことある。お前も関わってたら何されるかわからないぞ」
「……そっか」
胸のあたりが少し重くなった。
友人は続ける。
「でもひどいよな。来ないだけでいじめられるとか」
「ほんとにな~」
そう言いながら、内心では――
――無視するどころかあいつらもっとひどいことしてるんだけどな……。
そんな思いが浮かんで、喉の奥にひっかかった。
「お前ら、席つけー!」
担任が教室に入ってきて、僕らは話を切り上げた。
ざわついていた空気が、すっと静まっていく。
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