第三話 カラオケにて
カラオケで歌っているとき、少し気になっていたことをふと思い出し、僕はマイクを置いて友人に聞いてみた。
「星影さんって、どんな人だったの?」
功介は少し驚いたような顔をして、聞き返す。
「お前、気になるのか?」
「まぁ……少しだけな」
彼は困ったように眉を寄せながら、少し考えてから答えた。
「俺も同じクラスだったってだけで、詳しいことはよく知らん。見た感じ、いつもマスクしてて物静かな子だったな」
「あと、学校でも言ったけど、夏休み前くらいまでは毎日来てたけど、そのあとからはあんまり見かけなくなった」
「へぇ、そうか」
僕は感情のこもらない、軽い声でそう返した。
「お前、聞いてきた割に反応薄くね?」
「すまん、ちょっと考え事してたわ」
「お前って、たまにむっちゃ悩んでることあるよな」
「マジで?顔に出てた?」
「出てた出てた。お前、めっちゃ顔に出るタイプだぞ」
「マジかよ……」
功介は笑いながらマイクを手に取り、言った。
「まぁいいや。今日はそんな悩みなんて忘れて、歌い尽くそーぜ!」
「そだな!」
そう言って二人はまたマイクを取り、思いきり歌い始めた。
気づけば、外はすっかり夜の色に染まっていた。
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