End9
目が覚める。
辺りを見渡す。
いつもと変わらない自分の寝室の光景だ。
ただ一つ、布団のちょうど腹の上辺りにナイフが置かれていることを除いては。
恐る恐るナイフを見つめる。
ナイフは鈍く銀色に光っていた。
その光は己を飲み込みそうな狂気的な美しさを持っていた。
ナイフを手に取りますか?
Yes
No
「Yes」
その美しさに魅入られてナイフを手に取った。
それは手に吸い付くかの様によく手に馴染む。
己の心の奥底の渇望が膨れ上がった様な気がした。
どうする?
二度寝する
タンスを開ける
自分を殺す
「自分を殺す」
自分を手に持っていたナイフで突き刺す。
自分は死を渇望していた。
死ねば無になれるからだ。
生きている限り、幸せがあるかもしれないが不幸せももちろんある。
自分はこれ以上、自分の幸せが壊れるのを見たくなかった。
だから無になることを選んだ。
自分の体が崩壊していくのを感じる。
ああ、これでこれ以上自分の幸せが壊れていくのを見なくて済む。
一番幸せな状態で死ぬことができる。
ああ、僕は今幸せだ。
End9 自殺者
「みんな無になるのを恐れるけど、無だっていいものじゃない?」
by自殺者
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