End6

目が覚める。

辺りを見渡す。

いつもと変わらない自分の寝室の光景だ。

ただ一つ、布団のちょうど腹の上辺りにナイフが置かれていることを除いては。

恐る恐るナイフを見つめる。

ナイフは鈍く銀色に光っていた。

その光は己を飲み込みそうな狂気的な美しさを持っていた。

……何故こんなものがここにあるのだろう。


どうする?


二度寝する

ナイフを取る

ゲームをする


「二度寝をする」


……きっとこれは夢だ。

こんなところにナイフがあるはずがないのだから。

もう一度寝て、次起きたらナイフは消えていて、いつも通りの生活に戻れるはず。

そう思って目を閉じる。


いつも現実が辛い時は夢を見る。

夢の中では幸せでいれるから。

現実では何にもできない。

だけど夢の中だったら自分が望むことなんだってできる。

ああ、きっと夢だと思っているものが現実で、現実だと思っているのが夢なんだ。


だから今日もまた眠り、夢を見る。

現実へと戻るために。

おやすみ。


End6 現実逃避

「夢の中は幸せなんだ。ずっとずっとずっと夢に中にいたい。望んでも何も変わらない現実なんて消えてしまえばいい」

by夢見る人


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