End4

 目が覚める。

 辺りを見渡す。

 いつもと変わらない自分の寝室の光景だ。

 ただ一つ、布団のちょうど腹の上辺りにナイフが置かれていることを除いては。

 じっとナイフを見つめる。

 ナイフは鈍く銀色に光っていた。

 

 ナイフを手に取りますか?


 Yes

 No


「……」


 邪魔なナイフがあるが、面倒臭いな。何もしたくない。

 どかすのすら面倒臭い。


 ナイフを手に取りますか?


 Yes

 No


 もういい、放っておいてくれ。

 俺はもう何かを選択したくないんだ。

 何も考えたくないんだ。


 ナイフを手に取りますか?


 Yes

 No

 何もしない


「何もしない」


 もう疲れた。何もしたくない。

 全てに疲れてしまった。

 毎日毎日、朝起きて、仕事をして、寝なければならない。

 それだけではなく、食事の栄養バランス、交友関係、果てには自分の体調まで気を配らなければならない。

 それらを頑張って頑張って頑張って頑張っても報われることはなかった。

 ただ生きることができただけである。


 俺はもう、全てがどうでもよくなった。

 これで終わりにしよう。

 そうして目を閉じる。


End4 Nothing

「いったい何のために生きているのだろうか」

by 何もしない人

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