第一ステージ
2 初戦闘
光が収まると、俺は木々が生い茂る場所にいた。
人工的な建物は無いが、そこまで木の密度が高いわけでもなかった。
俺が周りの状況を確認しようとしていると後ろから音がした。
生物の足音のような音だ。
俺が振り向くと、すぐそこに棍棒を持ったゴブリンのような生物が立っていた。
「ギャー」
俺との距離は2mほど。
明らかに俺に向かって襲いかかってきている。
棍棒をふりあげ、走っている。
驚いたが、咄嗟に腰にある鞘から剣を抜いてゴブリンに振るう。
ゴブリンの構えていた棍棒と剣が衝突する。
そして、俺の剣が棍棒を切り飛ばす。
剣を振るった反動で若干身体が剣に振りまわされるが、その力を利用して遠心力でゴブリンに向かって剣を再度振るう。
その剣はゴブリンの首に吸い込まれていき、ゴブリンの首を刎ね飛ばした。
ゴブリンは切られた胴体から血が噴き出る。
そして、ゴブリンは絶命し、倒れた。
「あっぶねぇ」
咄嗟に最適な行動を取ることができたが、一つでも間違っていたら死んでいたかもしれない。
初見殺しにも程がある。
これがチュートリアルなのか?
だとしたら少ない人数がこのゴブリンに殺されるぞ。
というか、銃を選んでいたら死んでいたかもしれない。
銃だと即死させない限り、攻撃が俺に届いていただろうからな。
「なんだ?」
突然ゴブリンの死体が光を放つ。
そして、ゴブリンの死体は跡形もなく消えてしまった。
噴き出た血も全て消え、ゴブリンなんて元からそこにいなかったかのようになった。
『ゴブリンを討伐しました』
『ゴブリンの肉を獲得』
『2ポイントを獲得』
『称号モンスター討伐を獲得』
『スキル反応強化LV1を獲得』
『参加者初のモンスター討伐を確認』
『称号スピードファイターを獲得』
『スキル韋駄天LV1を獲得』
『参加者初のゴブリンの討伐を確認』
『スキル棒術LV1を獲得』
俺の頭の中に声が響いた。
ゴブリンの討伐報酬か。
討伐すると、死体が消え、スキルなどが手に入る。
本当にゲームのような世界だな。
なんか色々な称号とスキルが手に入ったけど、参加者初のモンスター討伐があった。
つまり、俺よりモンスターを早く討伐した人はいないということか。
あれ?もしかしてチュートリアルじゃない?
たまたまモンスターの目の前にスポーンしたということか。
運悪!
だけど、そのおかげでなんか色々称号が手に入ったな。
これは運が良いと言うべきなのか?
辺りに他のモンスターがいないことを確認してから色々と確認することにした。
「スキル・称号」
———————————————
スキル
共通言語
鑑定LV1
身体能力強化LV1
反応強化LV1
韋駄天LV1
棒術LV1
称号
剣の使い手
モンスター討伐
スピードファイター
———————————————
うん。なんか色々増えた。
韋駄天ってなんだろう?
確か神様の名前だっけ?
どんな効果なのだろうか?
「韋駄天」
腕輪と同じように、言ってみれば何か発動するかと思ったが、何も反応しない。
まあ、後ほど色々検証するということで次。
「ミッション」
一番気になっていたミッション
何か目標とかあるなら知りたい。
———————————————
只今ミッションはありません
残り人数99999
———————————————
ミッションはないと書いてあるが、それよりも残り人数が書いてある。
元から99999なのか、100000から一人死んで減ったのか。
俺も最初に死んでいた可能性もあるんだよな。
そう考えると、背筋がゾッとする。
デスゲームの参加に関してはそこそこ受け入れることができたが、流石に死は怖い。
安全第一で行こう。
そう思っていると、少し離れたところで音がした。
また足音のようだ。
人がいるなら会ってみたいと思い、その音の方向に向かうことにした。
だが、その歩き始めた一歩目。
その足は普段と比べ物にならないほど軽かった。
なんだ?
少し走ってみる。
足がめっちゃ速い。
何これ?
「これが韋駄天か」
韋駄天は足の速い人という意味もあったからそれで足が速くなったのか。
となると、結構便利なスキルを手に入れたかもしれないな。
速さは戦う時にも逃げる時にも強力な武器となる。
ここまでスキルのLV1で変わるのなら新しく手に入れたスキルなどの検証もしないといけないな。
結構この世界は面白いかもしれない。
命の危険さえなければめっちゃ楽しむことができたというのに。
そうして、俺は韋駄天で足が速くなったのでその脚力で音のした方向に走る。
普段とは比べるまでもなく、速いというのがわかる。
今ならオリンピックにも出れる気がする。
そして、音のした方向に向かうと、音の発生源と思われる者を見つけることができた。
残念ながらそれは人ではなくまたしてもゴブリンだった。
とりあえず、色々検証させてもらおう。
まずは、
「鑑定」
———————————————
ゴブリン
———————————————
うん。知ってる。
え?情報それだけ?
なんか、持ってるスキルとか教えてれるんじゃないの?
使えねえ。
まだLV1だから仕方ないのか?
韋駄天はLV1から使えたのに。
次に反応強化を試したい。
俺はゴブリンの前に姿を現した。
「ぐギャー」
ゴブリンは俺を認識すると、一直線に俺に襲いかかってきた。
だけど、最初の戦闘よりもゴブリンの動きが遅く感じる。
これが反応強化か。
なんというか地味だな。
確かに反応、というより動体視力が上がっているような感じはするが、余裕が持てるほどじゃない。
だが、あるとないのとでは大違いだ。
まあまあ当たりスキルだろうが、モンスター討伐なんて基本的にみんなするだろうからレアではないな。
俺は剣を抜き、棍棒を持っている手を切り飛ばす。
「ギャー」
ゴブリンは痛がっているように切られた腕を抑える。
モンスターにもしっかりと痛覚はあるんだな。
さっきは首を刎ね飛ばして即死させたからこういうのはわからなかった。
俺は剣を鞘にしまい、地面に落ちている切り飛ばした腕が握っていた棍棒を手に取る。
そしてその棍棒を振るってみる。
なるほど。
なんというか、どう振ればいいかなどがなんとなくわかる。
スキルの棒術があるおかげだろう。
棒術なんてあるなら。剣を選んだ時に剣術のスキルくらいくれればいいのに。
「グギャー」
ゴブリンは切られてきない片方の腕の尖った爪を向けながら俺に襲いかかってくる。
俺は手に持った棍棒をゴブリンに向かって振ってみる。
ゴブリンは棍棒に当たり、吹っ飛ばされる。
確かに棒術が使いやすくはなったが、結局殺傷能力は剣の方が上だ。
剣を抜き、ゴブリンの首に剣を振るう。
ゴブリンの首と胴体は離れ離れになり絶命した。
ゴブリンが死ぬと、俺が手に持っていた棍棒も同時に消えた。
モンスターの武器は入手できないようだ。
『ゴブリンを討伐しました』
『ゴブリンの肉を獲得』
『2ポイントを獲得』
今回は称号もスキルもなしか。
まあ前回は初回だったからたくさん入手できたのだろう。
そういえば、俺は普通にゴブリンとか殺してるな。
俺は生物とか余裕で殺せるほどイカれていたのか、何か特殊なスキルみたいなものでも貰っているのか。
まあ、今は自分が生き残ることを最優先に考えながらやっていこう。
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