第42話
「ヴァルさんの迷惑になりたくないよ……」
気が付けば泣いてた。
「迷惑だなんて思ってない」
「でも、謝らせちゃった……負担になりたくない……私……」
ああ、そうだ。
消えたいと思っちゃうのは……。村の人たちの邪魔者だと私を見る目を思い出す。
「ヴァルさんに……き……きら……嫌われたく……ない……邪魔だって……思われ、たく……な……」
ヴァルさんが私を抱き上げ、高い高いのように持ち上げた。
「ばっかだな。子供なんてのは、大人に遠慮なんてする必要ねぇんだよ。迷惑かけるなっていうなら、赤ん坊は泣くことすらできなくてみんな死んじまうぞ?」
うっ。
それは、そうかもしれないけど……。正論のようだけど、だけど……。
「子供だからって我儘言うのは……違う……」
精霊さんに対する私の甘えみたいな……。
「我儘?」
ヴァルさんが首を傾げながら、私をいつもの抱っこポーズに戻る。
「フワリは全然我儘なんて言ってないと思うけどな?とにかく、俺がフワリと一緒にいたいんだ、それは分かるか?」
どうして……。
「子供を危険な森の中に置いていくような大人になりたくない。だから、フワリが嫌だと言おうが連れまわす。これは、俺の我儘だ。……大人なのに我儘だぞ?フワリは俺のことを迷惑だ、嫌いだ、って思うか?」
そうだ。ヴァルさんは……。
「分かった。ヴァルさんは私のこと嫌いでも、子供じゃなくても、助けが必要ならきっと助けてくれるね……」
すごくいい人なんだと思う。
私を早く街に連れて行ってあげたいと思ったから、謝ったんだよね。
ガーンとヴァルさんがショックを受けた。
「なんで、そんな顔をするの?」
「なんでじゃない、どうしてフワリこそ、俺がお前のこと嫌いなんて結論になるんだ?」
「そんなこと言ってない」
「でも、私のこと嫌いでもって」
あ、言ったけど。それはもし、そうでもっていうもしもの話だよ。
「はっ、もしかしたら逆で、フワリが俺のこと嫌いなのか?だから、後ろをついてくるなと……」
ヴァルさんがさらに青ざめる。
「んもぉー!そんなこと一言も言ってない!私はヴァルさんのことが好きだから、迷惑かけて嫌われたくないって、そう言ったでしょ!」
ヴァルさんが満面の笑みになった。
「そうかぁ!俺もフワリのこと大好きだぞ!」
そして、私を大きな体で、優しく抱っこしてくれた。
「うん……」
好きだから、ヴァルさんのために何かしてあげたいし、負担になりたくない。
好きだから、嫌われたくないし。
でも。私に何ができるんだろう……?
あ、そうだ。
「ねぇ、ヴァルさんは何歳?」
私を抱っこする手がびくりと震えた。
「何歳に、見える?」
合コンのOLか!
いや、びっくりしてたから、前世で呼んだ漫画とかにあったあれかもしれない。
早く冒険者になりたくて年齢誤魔化して登録したとか。
……で、年齢がばれるとヤバイみたいな?
見た目通りの年齢を言わない方が良い?30歳に見える女性には25歳くらい?と言う方が正解だったり、童顔な男性には25歳に見えても30歳と言った方が正解だったり、いろいろメンドクサイ。
うん、メンドクサイ。
ヴァルさんは20歳前後には見えるけど、日本人基準判断だから、もしかすると意外と若い可能性もある。さっぱりわからない。
エルフなら大体の年齢は分かるんだけどな。ぴちぴちの100歳のエルフは耳がピーンと上に向いている。
500歳くらいになると、50度くらいたれてくる。900歳で直角よ。真横に耳がたれる。
そう、いくら容姿は若いままなエルフも、耳だけが重力に勝てないっ!
……そういえば、同じように長生きなドワーフの年齢はどこで見分けるんだろう?
髭の長さとかかな?
それだと女性の年齢は分からないかな?髭なら切ることだってできるんだよね?
と、いろいろと考え込んでいたら、ヴァルさんがソワソワし始めた。
そんなに大人っぽく見えるか?にやにや。タイプか。
そんなに若く見えるか?にたにた。タイプか。
分からん。はずすとまた落ち込みそうだ。めんどくさい。
「大人」
「ん?」
「大人に見える。お兄さん。おじさんではない年齢」
必殺、子供から見れば、大人はみんな大人を発動。
「あはは、まぁそうか。そうだな。フワリは子供で俺は大人。間違ってない。15歳で大人だから、フワリはまだまだずっと子供だぞ」
それを言うなら、子供だと思ってたのにあっという間に大人になったなを発動すると思うよ?……。それはさておき。
まぁ結局年齢は分からなかったけど見た感じ日本人基準だと20代。大人を否定はしなかったから、15歳以上は確定。
で、30にはなってなさそう。日本人基準だと25歳くらいだと思うけど、こっちの人間の見た目は大人っぽく見えがちなのかさっぱりわからない。まぁ20前後ってところが妥当か?
何がいいたいかと言えば。
前世と今世を合わせた私の年齢の方がずっと上。お姉さんです、精神的には私、お姉さんなんて言うのもおこがましいです。
肉体とか、こっちの世界での常識を知らないとかは負けてるけど、前世知識や臨機応変対応力など、勝てるとしたらそのあたりだと思う。いや、勝つ必要はない。役立てるとしたらだ。
よし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます