教えられた事実
次の日、目が覚めるととてつもなく強い頭痛があった。なんだこの頭痛は。体調不良か。
それに俺は昨日いつこのベットで寝たのだろうか。掛け布団もしっかりかけている。横になった記憶も掛け布団をかけた記憶もない。
とりあえず起き上がるか。俺はいつかけたのか不明な掛け布団を取って体を起こした。起き上がった時に俺はあることに気がついた。
部屋着ではなく洋服を着ているのだ。洋服を着ているということは俺は昨日風呂に入っていないということだ。ということは俺は昨日帰ってすぐ眠ったということだろうか。
俺は考えながらトイレに行き用を足した後に洗面所に向かって手を洗いその後顔を洗いうがいをした。
リビングに向かい決まった席に腰を下ろす。
「俺は昨日どっか出かけていたと思うのだが、いつ家に帰ったのだろうか。覚えていないんだが」
俺は妻に問いかけた。本当に覚えていないのだ。
「昨日は古い友人の青木さんと会うって言って夕方に出かけていきましたよ。場所は聞かなかったので分かりませんが。帰宅したのは日付が変わった後でしたけどね。大変でしたよ」
そうか。そうだ、昨日は青木と飲む約束をしていたんだった。だから夕方に出かけた。飲んだのは確か寺井駅近くだったはず。思い出した。
でもその後が分からない。俺はどうやって帰宅したんだ。妻が言うには俺は日付が変わった後に帰宅したらしい。
となると終電で帰ったのか。それともタクシーか。それとも青木に送ってもらったのか。それは違うよな。あいつも酒飲んでたはずだし。そもそも車で来なかったよな。じゃあ俺は何で帰ったんだ。
まぁ、帰宅方法はそんなに深く考えなくてもいいか。無事に帰宅していることには変わりないんだから。うん?今妻は最後になんて言った?大変でしたよって言ったか。一体何が大変だったんだ。
「大変だったって何のことだ」
「あなた本当に覚えていないんですね。深夜私が寝ている時にスマホに電話がかかってきたんですよ。それが110でしてね。私は慌てて電話に出ましたよ。そしたら獅子舞駅前交番からであなたを保護しているから迎えにきて欲しいって。私の運転免許証を持ってきて欲しいって」
獅子舞駅前交番といえばこの家の最寄駅前にある交番だ。そこに俺が数時間前まで保護されていたということか。
保護対象になるような状態だったということか。俺はな何で保護されたんだ。どういう状態で。覚えていない。
「交番に行って私の運転免許証を見せて、あなたの妻ってことを簡単に証明して。書類を書いて、交番のお巡りさんが運転するパトカーに乗せられて帰宅したんですよ。あなたは泥酔して歩けなかったからお巡りさんと私でベットまで運んで。本当に大変でした」
泥酔した。そうか、強い頭痛は飲み過ぎのせいか。それでか。いや、そんなことより保護対象になるまで飲んで妻やお巡りさんには迷惑をかけたな。そんなに昨日飲んだかな。いや、飲んだんだろうな。
「お巡りさんの話ではあなたは獅子舞駅の駅中トイレで横たわっていたらしいですよ。誰かの通報でお巡りさんが駆けつけたって。飲み過ぎには気をつけて下さい。いい大人が恥ずかしい。本当にやめてください」
学生の時路上で寝ていた酔っ払いを見てああはなりたくないな。あんなの恥ずかしいよななんて友と話していたのを思い出した。
なりたくないと思っていたもの、軽蔑していたものになってしまったということか。情けない。自分が恥ずかしい。惨めだ。
「妻よ。覚えていないのだが迷惑をかけた。本当にすまなかった」
俺は本気で謝った。これに関しては全て俺が悪い。迷惑をかけた挙句覚えていないなんて。本当に何をしているんだ。
「後で獅子舞駅前交番にも行って謝ってくれば。結構迷惑をかけたはずだからね」
「そうするよ」
俺は朝食を食べた後昨日入らなかった風呂に入り歯を磨いた後着替えて交番に向かった
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