ティディベアは不眠症
猫背ぱん
ティディベアは不眠症
眠りにつくまであと少し。
秒針の音だけが、これは現実だと教えてくれる。貴女を呼ぶ声が聴こえても、すぐに目を開いたらいけないわ。
ほら、秒針が止まっている。
耳を澄ませてごらんなさい。
暗闇は鏡だから、決して割ってはいけませんと、ハンティングトロフィーが繰り返し唱えている。
あなたはだあれ?
暗闇は鏡だから。
割ってしまえばどうなるの?
決して割ってはいけません。
生まれてきた意味を問う。
壊れかけのオルゴール。可哀想な薔薇に子守唄を教えましょう。愛を知らない薔薇なんて、存在してはいけないの。
たまに手に取って撫でてみる。
崩れてしまったら思い出せない。
酸いも甘いも噛み分けましょう。
親愛なる貴女。理想の大人になるのなら、あと千回嘘をつくのがよろしいわ。
働き者にはティーカップを。
罪深き者には蜂蜜を。
涙の分だけそそいだら、美味しい紅茶のできあがり。
失ったものばかり数えている。
手放した風船が空に吸われて見えなくなった。そんな時は、あたしと手を繋いだらいいじゃない。貴女の可愛いティディベア。眠れない貴女のお友達。
いつだって味方よ。貴女以外いらないわ。
そうさせて、お願いよ。じゃないとあたし、狂ってしまいそうになる。
ティディベアは不眠症。
忘れたことを、忘れたままで。
愛したヒトを、愛したままで。
言えないことを、言えないままで。
ティディベアは夢をみる。
その小さな手で、抱きしめて。
ティディベアは不眠症 猫背ぱん @xee0eex
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます