修行編【3】

 「儂が鍛えてやってもいいぞ。」


 双葉にとって師範代、範馬勇作ははるかに格上の存在だ。

その師範代を小指一本で倒した林石龍は言わば驚異的な超人。


「是非ともお願いします!」願ってもない申し出に双葉は即答する。


「儂の技を会得するのに何年かかるかわからぬがその覚悟はあるか?」


「無論ございまする。」


 (しめしめ、これでうまくいけば5年ぐらい居候できるやも。)

この林石龍の思惑は大誤算で2年で双葉は修行を終えることになるが。


 双葉は基礎体力の鍛錬はすでにほぼ完成されていたうえに、あまりある才能と

妥協せぬ鍛錬に取り組む姿勢が開花を早めたのだ。


 林石龍は中国拳法を独自に発展させた技が多い。

その神髄は人体の急所、すなわち秘孔をカウンターで穿つことにある。

 

 紙一重で見切り一瞬で間合いを詰める。

相手の突進に加えて自身も前に出ることにより数倍の威力になる。


 最初の鍛錬は毎日の指立伏せ。指5本から始まり4本、3本、2本と減らしていき、どの指でも一本でできるようになるまで続けていく。


 秘孔を突くときには強靭な指が必要なのだ。

突き指や骨折などするようでは話にならない。


 指の鍛錬と同時に相手の攻撃を見切る修行も始まった。

林石龍は双葉に「儂を好きなように攻撃するがよ、、。」と言い終わらぬうちに

双葉は殴った。


 林石龍は吹っ飛んだ!

「ぐふッ、、、距離を置いて構えてからじゃ!たわけが⁈」


「これは失礼。」と深々と頭を下げた。


 (不意打ちとはいえ、顔面を殴られたのは何年ぶりだろう?

こ奴の速度は侮れんぞ⁈)


 改めて二人は対峙する。

「いつでもいいぞ。」 

「いざ参る。」


 双葉は少しづつ間合いを詰め、フェイントのローキックを出してみたが、林石龍は微動だにしない。


 間合いを一気に詰めて拳を繰り出した。

おそらく体を沈めて交わしたのだろうか、林石龍の髪の毛が数本宙に舞った。


 すぐ 目の前に現れた林石龍の笑顔が怖い!

心臓のあたりに衝撃が走って吹っ飛ばされた。


 いわゆる発勁と呼ばれている技だろうか。

双葉の意識が遠のいた、、、


 林石龍は微かに違和感を持った。

ほんの少しのムニュ⁈


 前に温泉で見たときは湯けむりと距離があったため、小僧でハズレじゃと思ったが

もしや、、、


 これは確かめる必要があるよにゃ、もといあるよな!

ちなみにこのスケベ親父は助平心が湧くと噛む癖がある。


 意識を失っている双葉の練習用の上着を掴むと、一気に胸のあたりを開けた。

そこには僅かだが、ほんの僅かではあるがふくらみがあった。

 映像的にはギリセーフ⁈


 この時点で双葉が女子であることを見抜けぬ林石龍ではない。

ないが、疑惑を完全に払う責任が儂にはあるのではないか。


 あくまで念のための確認?と自分に言い聞かせ、道着の下をはぎ取った。

見た感じではキャンタマはついてなさそうだが、、、


 (いやいや、先入観はいかんぞい。触ってみればわかることよにゃ。)

魔手が伸びる。


 今まさに危機一髪!


 林石龍は吹っ飛んだ。

ただらなぬ気配に目を覚ました双葉が蹴りを入れたのだ。


 普段なら食らうはずもない蹴りだが、助平親父モードの林石龍は案外もろい。

開けた胸と脱がされている下の道着をみて、察した双葉が林石龍を踏みつける。


「この助平親父めが!」

「悪かった!許してくれ。儂はただ確かめたかっただけじゃ。」


「ほほう!何を確かめたかったのかな?」

キャンタマだと言えようはずもない。


「それは、、、


しばらくの間蹴られ続けた。














 



 


 


 


 




 


 



 


 


 


 







 


 














 



 


 

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