ep.6
「俺の世界は、愛香さんです。愛香さんが死ねば、世界は終わる。成功しても失敗しても、同じことです」
(やっぱスマホからでは無理だな…「綻び」に連絡…入れてみるか?)
なぜか「綻び」をバックウィンドウで開けている時だけネットの電波だけがつながる。
こいつが助けようとしてくれている気がして、メッセージ画面を開こうとした瞬間——。
「私のパソコン、使って」
無事な手を持ち上げ、電源の場所を教えてくれる愛香さん。
「パスワードは16・22・26・12…」
暗証番号を入力し終わったあと、ちょっとした起動時間の間に、つい聞いてしまった。
「アイウエオ順、すか」
「バレたか」
ふっと息を吐く愛香さん。
「まさか、俺とは」
思わず笑みがこぼれる。
***
「あの、その右下のフォルダの…そう、それ。そのAI、自動でハッキングしてくれるから…たぶん民間人の、なら…」
「5日前の記事…ここへ…戻します」
言うと、自動ハッキングシステムを起動させる。
第一、第二関門を突破していく優秀なAI。
「そうなると、今の、私たちは…?」
「どうなるんすかね」
***
花雲の5日前の記事は奴らが押し入ってくる前で止まっていた。
その後の記事は火災…愛香さんが死んだあと警察に保護される俺の描写…。
(絶対、嫌だ)
それらの記事自体を削除する。
エンターを押した瞬間、ふんわりと透けていく指。
指だけじゃない、身体も。
愛香さんも透けて、端の方から光の粒になって消えて行く。
「た、にはし…くん」
急いで愛香さんに駆け寄った。
「つ、次は。次こそは二人でうまく逃げましょうね!」
無事な方の手を俺へ差し出す愛香さん。
その手を握る前に、光になって散ってしまう。
「…1人で…逃げたりしないでくださいよ?」
谷橋の声は光になり、その部屋に散っていった。
** おしまい **
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